
【ウレタンの乾燥】メカニズムと乾燥時間を解説!塗装時の注意点とは?
ウレタン塗料は、DIY塗装者からプロまで幅広く愛用されるアイテムです。
ウレタン塗料を使用する最大のメリットは、強靭で保護力に優れているにもかかわらず美しい光沢を持つ塗膜にあるといえるでしょう。
塗料として優良なメリットがある反面、ウレタン塗料にはデリケートな側面があり、取り扱いには注意が必要になります。
特に乾燥の工程は、仕上がりを左右する重要なポイントです。1液,2液どちらもトップコート時の2回目を吹く時に、表面がシワシワになったりと、下地の塗料の相性に合わせる必要があります。
そこでこの記事では、質問が多い一液ウレタン塗料の基本から乾燥の工程や乾燥時間、さらには塗装に最適なタイミングまで分かりやすく解説します。
目次
1.1液ウレタン塗料とは
2.ウレタン塗料の乾燥時間とは
3.乾燥時間に影響を与える主な要因
4.塗装時間と季節の関係
5.まとめ
一液ウレタン塗料とは

一液ウレタン塗料は、主成分にポリウレタン樹脂(ウレタン)を使用している塗料のことを指します。
ウレタン樹脂にもポリウレタン樹脂とアクリルウレタン樹脂の2種類がありますが、近年ではアクリルウレタン樹脂塗料の方が主流です。
ウレタン樹脂というと「弾力のある柔らかな素材」というイメージがあります。しかし硬化したウレタン塗料の塗膜は、弾力性はありつつも非常に硬いのが特長です。
DIYにおすすめな塗料
バランスの良い塗料として人気の高いウレタン塗料は、DIYでも人気があります。プロの現場では二液ウレタン塗料が一般的ですが、DIYでは一液ウレタン塗料が主流です。
プロが使う二液ウレタン塗料は、主剤(ウレタン樹脂)と硬化剤を混ぜ合わせて使用します。しかし配合は正確に行わなければならず、塗装経験が浅い塗装者には難しいです。
さらに一度混ぜ合わせた塗料は、使い切る必要があります。
これに対して一液ウレタン塗料は、主剤と硬化剤を混ぜる必要がありません。勘の蓋をあければ、そのまま使うことが可能です。
さらに保存性にも優れているため、開封後も蓋を締めれば保管ができます。そのため一液ウレタン塗料は、DIYにおすすめな塗料といえます。
さまざまな素材に使用可能
優れた密着性も、ウレタン塗料の魅力です。
木材はもちろん、金属やプラスチック、コンクリートなどDIYで使用する多くの素材に塗装できます。
そのため錆止めした門扉のコーティングや木製の棚など、さまざまなDIYシーンに使用できる点もおすすめです。
| 素材 | 主な使用方法 |
| 木材 | テーブルの天板、棚、フローリングなど。耐摩耗性が高いため、日j標的に触れる場所の塗装に適している。 |
| 金属 | 門扉や鉄部の錆止め後の仕上げに適している。 |
| コンクリート | ガレージの床など、防塵または防水を目的とした塗装に適している。 |
ウレタン塗料の乾燥時間とは

DIY塗装者が陥りがちなミスとして多いのが、乾燥具合です。ウレタン塗料は、化学反応によって硬化する性質があります。
硬化が進むにつれて塗膜に変化が起こりますが、その変化は3つの段階に分かれます。
指触乾燥
「ししょくかんそう」と読みます。指触乾燥は、「塗膜に触れた際に指に塗料が付かない状態」を指します。
指触乾燥の段階では、塗膜内部はまだ硬化していません。あくまでも表面に「膜」が張った状態です。そのため強く押すと、液化したままの塗料が膜を破って出てくることがあります。
しかしウレタン樹脂そのものが弾力性のある素材であるため、塗料が付かないことで「乾いた」と勘違いしやすいです。
半硬化乾燥
半硬化乾燥の塗膜は、中心部もある程度硬化しています。指触乾燥段階では、指で強く押すと表面に指紋がつきます。しかし半硬化乾燥段階では、同じ程度の強さで押しても指紋はつきません。
さらに塗膜も概ね固まっているため、軽くこすった程度であれば塗膜が動くこともありません。
そのため半硬化乾燥段階では、二度塗り(塗料を重ねること)も可能です。しかし塗膜内部では、硬化のための化学反応は続いています。
完全硬化
完全硬化段階では化学反応が完全に終わり、塗膜の高度は最大になります。そのためウレタン塗料本来の性能が発揮され、耐溶剤性が発揮されます。
しかしながら、完全に塗膜が落ち着くまでには数日程度必要です。完全硬化段階でも注意しなければならないのが、ブロッキング現象です。
ブロッキング現象とは、塗料の粘着性によって塗膜とその他の面がくっついて剥がれなくなる状態を指します。
未乾燥な塗料でよく起こる現象ですが、完全硬化段階の塗装面に他の塗装製品を重ねた場合、互いの塗膜が圧着されて起こることがあります。
| 乾燥段階 | 状態の目安 | 次の工程 | 備考 |
| 指触乾燥 | 指で触れても、指が汚れない(塗料が付かない)状態 | 不可 | 塗膜内部はまだ液体だが、表面には薄い幕が張るため、乾いたと勘違いしやすい |
| 半硬化乾燥 | 触れても指が汚れず、軽くこすってもこすり跡が付かない状態 | 可能 | 塗料メーカーが指定する「塗り重ね乾燥時間」の基準となる段階 |
| 完全硬化 | 塗膜内部の化学反応がすべて終了し、最大高度に達した状態 | 重荷重や薬品洗浄が可能 | 完全硬化の段階までには数週間~1ヶ月以上かかることがある上に、見た目での判断ができないため注意が必要 |
乾燥時間に影響を与える主な要因

塗料製品のカタログには、乾燥時間の目安が記載されています。記載で書かれる主な内容は、「乾燥時間と乾燥空間の温度の目安」です。
しかし記載された数値は、すべての塗装シーンに当てはまるわけではありません。あくまでも、塗料の特性に合わせた理想的な環境下で乾燥させた場合の数値です。
そのため実際の塗装現場では、以下の要因によって乾燥時間が大きく前後します。
①塗装環境の湿度
ウレタン塗料は、主剤と硬化剤の化学反応によって硬化します。なぜなら硬化剤の主成分であるイソシアネートは、水分に反応しやすい特質があるからです。
ウレタン塗料本来の乾燥過程では、イソシアネート(硬化剤)がウレタン樹脂(主剤)と化学反応を起こすことで硬化します。
しかし空気中に極めて反応しやすい水分があると、イソシアネートは水分消費をしてしまいます。
そのため架橋反応(樹脂同士が結合する状態)が、正常に起こりません。塗膜の見た目は乾燥していた状態とほとんど変わらないため、重ね塗りをしてしまいがちです。
しかし硬化不良によってウレタン塗料本来の硬度に達してないので、耐久性に影響が出る恐れがあります。
他にも湿度が高い状態では、白化現象が起きるリスクが高いです。白化現象とは塗装の直後に起こるもので、塗膜が白くかすんだり表面にツヤがなくなる状態を指します。ウレタン塗料はきわめて水分に反応しやすいため、高温多湿な環境下での白化現象は高確率で発生します。
②塗膜の厚み
DIY塗装者に多い失敗の1つである「厚塗り」は、一見すると効率的な作業方法に見えます。
しかし塗装における厚塗りは、DIY塗装で多く見られる典型的な失敗の原因です。
一度に厚く塗ると、塗膜内部の乾燥不良を引き起こします。そもそも塗料は、空気に触れる表面から硬化が始まります。適切な量の塗膜であれば、時間の経過とともに塗膜内部まで固まるため問題はありません。
しかし厚塗りされた塗膜は表面だけに膜が張り、塗膜内部は液化したままです。さらに内部の溶剤は表面の膜によって蒸発できないため、閉じ込め状態(溶剤がぬけない状態)になります。
この状態では、いつまでも塗膜内部はやわらかいままで乾燥しません。さらに厚塗りは、クラックが起きる現象(クラッキング)が起こりやすいです。
塗料は乾燥の過程で収縮しますが、厚塗りされた塗膜は表面と内部の収縮ストレスの差が非常に大きくなります。
そのため硬化によって表面が縮もうとする動きに対して、未乾燥な内部が動きの差に耐えられなくなると、塗膜表面に亀裂(クラック)が入ります。
| 項目 | 1回だけ厚塗りした場合 | 複数回薄塗りした場合 |
| 全体の乾燥時間 | 塗膜内部が乾かないため、全体の乾燥時間が非常に長い | 各層の乾燥時間が短いため、全体の乾燥時間は短く安定性も増す |
| 作業の安定性 | 乾燥不良を起こすため、次の工程に進むことができない | メーカーが提示する「塗り重ね時間」を守りやすい |
| 塗膜の強度 | 表面のみ硬化し内部は軟弱なため、衝撃に弱い | 各層が密着するため、強固な塗膜になる |
塗装時間と季節の関係

四季がある日本国内での塗装は、季節によって難易度が変わる点に注意が必要です。
冬の塗装は時間がかかる
冬は、乾燥時間の増大が懸念されます。ウレタン塗料は、基本的に硬化剤を混ぜて化学反応によって強制的に硬化が起こる塗料ですが、気温が低い環境下では分子の動きが鈍く反応も遅れます。
そもそも化学反応の速度は、温度に比例するものです。一般的な塗装環境では、気温が10℃下がると反応速度は正常時の約50%まで下がります。
そのため分子の動きが活発な夏は1時間程度で乾燥するものも、冬は数時間かかることがあります。
さらに気温が低い冬はウレタン塗料に含まれる溶剤が蒸発しにくくなることも、乾燥時間が長くなる要因です。なお硬化不良の状態で塗り重ねると、塗装後にひび割れや縮みの発生リスクが高まります。
塗装に不向きな季節
一年で塗装に適しているのは、温度・湿度ともに安定している春と夏です。
夏は乾燥時間のみに注目するならば塗装に適していますが、塗装に不慣れな場合や初心者は避けた方が良い時期です。短時間で乾燥するということは、手早く作業を進めなければなりません。
さらに梅雨時期は高温多湿になるため、塗装そのものが適しません。冬は、乾燥時間が最も長いです。単に乾燥しにくいだけでなく、雪や霜によって水分が付着すると硬化不良を引き起こします。
特に雪や霜が発生しやすい12月~2月は、出来るだけ塗装を控えるのがおすすめです。なおメーカーでは、気温5度以下の塗装は避けるよう注意喚起を行っています。
まとめ
気軽に取り扱いができる一液ウレタン塗料はDIYにおすすめですが、使用の際には乾燥時間を十分にとることが重要です。
湿度や塗膜の厚みに注意することはもちろんですが、塗装する環境に適した乾燥時間を確保することが美しく仕上げるポイントになります。作業時間の関係で、強制的に乾燥時間を短縮化することも理論上は可能です。
しかし適切な環境や設備を使って乾燥させなければ、強制的に乾燥させたことで塗膜の状態が悪くなることがあります。
そのためDIY塗装では、メーカーが推奨する乾燥時間の目安を参考に、塗装環境に適した乾燥時間を守ることが重要です。
なお一度に厚塗りをするのではなく、薄い塗膜を幾重にも重ねて塗装する方が、結果的に早く乾き仕上がりも良くなります。
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