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【スプレーガンの洗浄】詰まりの原因や対処法、注意点をまとめて解説!

思い通りのカラーやデザインにカスタマイズする際に必要になるスプレーガンも、詰まりが起きてしまうと対処がとても面倒です。

基本的に詰まりが起きた場合は分解して洗浄するのが望ましいですが、「分解したまま元に戻せなかったら」という不安もあります。

しかし、スプレーガンの洗浄は、ポイントさえ理解していれば初心者でも簡単にできます。

この記事では、スプレーガンの洗浄について、詰まりの原因や対処法と併せて分かりやすく解説していきます。

目次

1.スプレーガンの詰まりの原因とは?
2.スプレーガンの洗浄に必要な道具
3.洗浄用シンナーと希釈用シンナーの違いは?
4.スプレーガンの洗浄方法
5.分解洗浄時の注意点
6.まとめ

スプレーガンの詰まりの原因とは?

スプレーガンと呼ばれる塗装装置は、圧縮された空気を使って塗料を霧状吹き付ける道具です。

仕組みや特長によって重力式タイプ・吸上式タイプ・圧送式タイプに分類されますが、いずれのタイプでも、塗料の効果による詰まりは発生します。

スプレーガンは塗料を吹き出す際に空気を使うため、塗料は空気に触れます。塗料は空気に触れると固まる性質があるため、スプレーガンは構造上詰まりが起こりやすいです。

スプレーガンの内部で塗料が硬化し詰まりが発生すると、塗料が出てこなくなるなどの不具合が発生してしまいます。

先端部の汚れも詰まりの原因

スプレーガンの先端には、空気キャップや塗料ノズルが取り付けられています。

空気キャップは塗料を霧状にしてスプレーパターンを作る部分で、丸吹き・平吹き・幅広と吹き分ける役目があります。

塗料ノズルは塗料が最終的に吹き出す出口の部分で、口径は塗料の噴出量に合わせて数種類から選びます。

どちらも直接塗料に触れる部分のため、塗料の硬化による詰まりが発生しやすいです。

さらに、空気キャップや塗料ノズルは、詰まりが起きると塗料回路や空気回路が塞がれてしまうため、スプレーガン自体が正常に作動しなくなる恐れがあります。

消耗品の摩耗に要注意

スプレーガンの内部には、消耗品に区分される部品もあり、塗料の詰まりによる動作不良だけではありません。

例えば、ノズルやニードルといった部品は消耗品であるため、摩耗すれば正常な作動ができなくなります。

また消耗品は、基本的に正規品でなければ正しく取り付けられないことが多いため、代用品を取り付けると正常に作動しないことがあります。

スプレーガンを洗浄したにも関わらず、正常に動かない場合は、このような消耗品の取付状況を確認してみるのもよいでしょう。

スプレーガンの洗浄に必要な道具

スプレーガン使用後は、都度洗浄が基本です。

都度洗浄の際は1~2分程度でできる簡易洗浄でよいのですが、「汚れがひどい」「詰まりで正常に吹き出さない」時は分解洗浄が必要になります。

分解洗浄では分解できる部分を取り外すため、簡易洗浄と比較すると手間も時間もかかってしまいます。とはいえ要領がわかれば、初心者でも無理なく行える手入れ方法ですので、プロからのアドバイスとすると使用後は常に分解洗浄をする!これが基本となります。

作業に慣れれば10分程度でできる作業なので、分解洗浄が初めての場合は、塗装する前に一度分解組み立てを試して見ることも重要です。購入時に取説と同時に分解図も入っていますので確認しておきましょう。
次に重要なのは専用の洗浄道具を使用することです。

スプレーガン洗浄用ブラシセット(ガンクリーナーセット

スプレーガンの部品は、塗料カップのように比較的簡単に洗浄できるものだけではありません。中には取り外しができない部分もあれば、細かくて非常に洗浄がしにくい部分もあります。

洗浄がしにくい部分は汚れがたまりやすい部分でもあるため、ブラシを使用した丁寧な作業が必要です。

そこで洗浄用の道具として用意しておきたいのが、スプレーガン洗浄ガンクリーナーセットになります。

必要な道具のみの単品販売も良いのですが、初心者にはブラシだけでなく口径内洗浄ピンや作業に便利な小道具のセットがおすすめです。

洗浄用シンナー(アセトン)

スプレーガンで使用する塗料には水性タイプの使用には洗浄は水にて洗浄。油性の塗料を使用する場合はコストパフォーマンスの高い洗浄用アセトンを使用するとよいでしょう。

アセトンは洗浄だけでなく塗料を洗い流す際にも使用するため、スプレーガンを使用する場合は必ず用意しておきましょう。

ウエス

ウエスには布製と紙製がありますが、どちらを使用しても構いません。

主に吹き上げの際に使用するため、場合によってはキッチンペーパーで代用することも可能です。

蓋つき空き缶

蓋つき空き缶は、残った塗料や使用後のシンナーを一時的に保管するために使用します。

容量は使用状況に合わせて選ぶのが良いですが、揮発性のシンナーを一時保管するため、蓋つきの空き缶を使用するのがおすすめです。

丸缶

丸缶は、分解した部品やパーツを洗浄用シンナーで漬け置きする際に使用します。

ホームセンターなどで販売しているため、使用状況に合わせて選ぶとよいでしょう。

保護用手袋

スプレーガンの洗浄に使用する溶剤は、皮膚に直接触れることで体内に侵入する危険があります。

専用の保護用手袋を用意するほどではありませんが、市販の商品で代用する場合は、溶剤に強いゴム素材の手袋がおすすめです。

洗浄用シンナーと希釈用シンナーの違いは?

洗浄作業ではシンナーを使用しますが、塗料を希釈する際に使用するシンナーを代用することはお勧めしません。

シンナーにはさまざまな種類があり、使用の目的に特化した専用シンナーも存在します。

なお塗装作業で主に使用するシンナーの種類には、希釈用シンナーと洗浄用シンナーがあります。

両者はいずれも専用シンナーですが、使用目的や特長が大きく異なります。

そのため使用の際には、目的に合わせて使い分けるのが良いでしょう。
※ラッカ塗料の洗浄にはラッカシンナーもしくは洗浄液アセトン
※水性塗料の洗浄には水
※ウレタン塗料にはウレタンシンナーもしくは洗浄液アセトン

洗浄用シンナーの特長

洗浄用シンナーは、溶解力に特化しているのが特長です。

商品によって洗浄性能が違いますが、塗料の性質に合わせて使い分けるのがポイントになります。

さらに洗浄用シンナーは、塗料との相性に注目する必要もあります。特にウレタン塗料の洗浄の際は要注意です。

ウレタン塗料にはアルコールに反応しやすい硬化剤が含まれているため、アルコールを含むシンナーとは相性が良くありません。

そのほかにも塗料にはフッ素系・エポキシ系があり、それぞれのタイプに適した洗浄用シンナーがあるため、塗料のタイプで選びましょう。

希釈用シンナーの特長

希釈用シンナーは塗料を溶かす際に使用するため、溶解力に優れているのが特長です。

また塗料の揮発速度を調整する作用もあるため、乾燥性が調節されています。

塗料用シンナーとラッカーシンナーが希釈用シンナーの中では一般的ですが、そのほかに塗料の性質に合わせた専用シンナーもあります。

希釈用シンナーはあくまでも塗料の溶解・調整が目的なため、洗浄用シンナーとは性質や配合が異なる点に注意が必要です。

洗浄用シンナー 希釈用シンナー
使用目的
  • 塗料や油の汚れを落とす
  • 塗料の粘度を下げる
特長
  • 溶解力に特化
  • 溶解力に優れている
  • 乾燥性や導電性が調整されている

 

スプレーガンの洗浄方法

詰まりが起きたスプレーガンは簡易洗浄ではなく分解洗浄で対処するため、冒頭の作業はスプレーガンの分解になります。

分解作業には特殊工具もなく難しい工程はありません。そのため商品の取り扱い説明書の記載通りに行えば、初心者でもできます。

しかし汚れがひどい場合には、ニードルが本体から取り外せないことがあります。

その際はペンチなど工具を使用して、ゆっくりと引き抜くと破損の心配なく取り外せます。

分解する際には、塗料カップ内部の塗料から先に洗い流します。
スプレーガンの洗浄方法についてはこちらのYouTubeをご覧ください。

洗い流しには洗浄用シンナーを使用し、汚れた液体は蓋つき空き缶に一時保管しましょう。

塗料カップの洗浄が終わったらうがいを行い、スプレーガン内部の塗料回路を洗浄します。

漬け置き洗浄

シンナーを使った洗浄作業で汚れが落ちていない場合、漬け置き洗浄を行います。

丸缶に取り外した塗料カップ・ニードル・空気キャップを入れ、洗浄用シンナーで漬け置き洗浄します。

漬け置き時間は汚れの程度によりますが、1時間程度を目安にするとよいでしょう。

ただし漬け置き洗浄は、樹脂やゴム素材が部品に使われていない場合に限ります。

ゴム素材はシンナーとの相性が悪いため、漬け置き洗浄を施すとゴムがふやけて本来の性質が損ねる恐れがあります。

特に空気キャップには樹脂部品が使われていることがあるため、必ず確認してください。

ブラシで汚れを除去

漬け置き洗浄でも落とせない汚れは、洗浄専用のブラシを使って落としていきます。

硬化した塗料は落ちにくいため、先端が硬い専用のブラシでこすり落とすのがポイントです。

なお初心者は擦り洗い用ブラシがついているスプレーガン洗浄用ガンクリーナーセットを選ぶと、汚れ落としが楽にできます。

細部の洗浄

塗料の汚れは小さな穴にも付着するため、細部の洗浄も行います。

特に細かな穴が開いている先端部の部品は塗料の吹き出しに関係するため、穴の中も掃除し、通りをよくするようにしましょう。

なお部品にあけられている穴は、目的や用途によって口径が異なります。

そのため穴の口径に合う棒を使用するのがポイントです。

吹き上げ

詰まりの原因である汚れが落とせたら、各部品を吹き上げて組み立てます。

組み立ての手順は分解と逆になるため、取り扱い説明書を読む際は注意しましょう。

すべての部品を取り付け終えたら、ウエスを使って全体を吹き上げます。

分解洗浄時の注意点

洗浄で詰まりを除去したにもかかわらず、すぐにまた詰まりが発生してしまうことがあります。

これは、洗浄時のうっかりミスが原因であることが考えられます。

スプレーガンの汚れがひどい場合や詰まりが発生した場合は、分解洗浄が必須です。

しかし洗浄後の組み立てが間違っていれば、詰まりの原因が解消されても塗装不良が起こる可能性があります。

さらに分解洗浄を行う際のうっかりミスによって、正しく塗布できない場合もあります。

オイルの付け忘れ

分解洗浄時のうっかりミスで注意しなければいけないのが、組み立て時のオイルの付け忘れです。

スプレーガンの内部にあるピストン室には、Оリングと呼ばれるパーツがあります。

Оリングは、ピストン室のピストンセットを正常に作動させるために必要な部品です。

しかしОリングにグリスが取れた状態では、抵抗が大きくなりすぎてしまい、動きが鈍くなったり動作が固くなったりますので
パーツ組み立て時は弾かないメンテナンスオイルを使用してOリングやニードル弁などの干渉しやすいパーツ部分に塗っていきましょう。
また通常のオイルやグリスになると塗料と反応して塗布面が弾いてしまうことがあるので、必ず弾かないメンテナンスオイルを使用しましょう。

組み立てた際には必ずスムーズにパーツが作動するか確認をしてから保管するように心掛けましょう。
スプレーガンは塗装の命です。メンテナンスをしっかり行い愛着を持って使用してください。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
この記事では、スプレーガンの洗浄について、詰まりの原因や対処法と併せて分かりやすく解説してきました。

塗料は空気に触れることによって硬化する性質のため、スプレーガンは使用の度に洗浄するのが基本です。

しかし使用後に行う簡易洗浄だけでは完全に汚れを落とすことはできないため、定期的に分解洗浄が必要になります。

分解洗浄は簡易洗浄に比べると、手間がかかりますが使用後はできる限り分解洗浄するよう心掛けましょう。

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