
【スプレーガン洗浄】専用ブラシの特長や使い方|ブラシでの洗浄方法を解説
スプレーガンの汚れ落としには、洗浄用シンナーで浸け置きする方法がありますが、浸け置き洗浄だけでは、十分に塗料の汚れを取ることができません。
そのため、日頃のお手入れとして用意しておきたいのが、スプレーガン洗浄専用のブラシです。専用ブラシにはさまざまな種類があり、それぞれの特長が異なるため、用途に合わせて使い分けるのがポイントです。
この記事では、スプレーガン洗浄に欠かせない専用ブラシの特長や使い方を解説します。種類別の特長や主な用途、専用ブラシを使った洗浄方法をまとめてご紹介ていますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
目次
1.スプレーガンの洗浄にブラシが必要な理由
2.手に入れるべき基本の洗浄ブラシ
3.洗浄に欠かせないニードルキット
4.洗浄ブラシを使ったスプレーガンの洗浄方法
5.【洗浄の基本】スプレーガンのうがいとは?
6.まとめ
スプレーガンの洗浄にブラシが必要な理由

スプレーガンで使用する塗料は、空気に触れることによって硬化します。そのほか硬化剤を使用するウレタン塗料のように主液と硬化剤を混ぜることによる化学反応で硬化します。
そのため使用後に洗浄を行わないとスプレーガン内部に残った塗料が硬化し、詰まりの原因となります。
ノズルや空気キャップに付着した塗料カスも詰まりの原因ですが、洗浄用シンナーに浸すだけでは落ちにくいです。
このような小さな穴が開いている部分の塗料カスは、専用ブラシで丁寧にこすり取らなければなりません。
そこで使用後は専用の洗浄ブラシで細かな塗料カスもすべて取り除くことが、スプレーガンお手入れの基本となります。
手に入れるべき基本の洗浄ブラシ

DIY塗装初心者には、「ガンクリーナーキット」と呼ばれる洗浄ブラシセットがおすすめです。
キットには形状やサイズが異なる複数のブラシが含まれますが、使用の目的がそれぞれ違います。
特にスプレーガンは塗料カスが固まると詰まりが起きるため、部品の形状に合わせて洗浄ブラシを使い分けることが重要です。
太いブラシ
ブラシの部分が太いものは、塗料カップや本体の洗浄に使います。
ブラシ部分に洗浄用シンナーを含ませ、塗料カップ内に残った塗料カスや外側に付いた塗料を落とします。
なお塗料カップや本体に傷がつきにくいように、ブラシの素材はナイロン製が多いです。
細いブラシ
細いブラシは、塗料ノズルの穴や塗料経路の洗浄用ブラシです。
口径に合わせた細いブラシを使っていきます。
日頃の洗浄ではあまり使いませんが、詰まりが起こり分解洗浄を行う際には使用します。
細いブラシは塗料が詰まった穴に差し込み、塗料カスを掻き出して洗浄するのが基本的な使い方です。
円錐形ブラシ
円錐形ブラシは、太いブラシでは届きにくい部分の洗浄に使用します。
主な用途は、塗料カップの底面や塗料カップとスプレーガンをつなぐ塗料通用口やネジ溝などです。
円錐形ブラシは塗料カップの底面にフィットする形状をしているため、太いブラシで落としきれなかった汚れも洗浄できます。
またネジ山のように丸みを帯びた部品に付着した塗料カスも、掻き出して除去することが可能です。
ミニブラシ
ミニブラシは、空気キャップの細かな穴(空気穴)の洗浄時に使用する専用ブラシです。
空気キャップにあけられた穴は空気に触れやすいため、塗料が固着しやすい傾向があります。
また洗浄によって穴が変形すると吹き付けパターンが変わるため、穴のサイズに合ったブラシが必要です。
なお変形を防止するために、空気キャップ穴の汚れ落としはニードルキットを併用するのが良いでしょう。
平たいブラシ
平たいブラシは、分解洗浄時に使用します。
主な目的は、接続部にあるパッキンやノズルの細い溝の洗浄です。パッキンやノズルの溝は、塗料カスが残りやすい傾向があります。
そこで平たいブラシは仕上げの洗浄として、わずかなすき間に残った塗料カスを取り除く際に使います。
| タイプ | 用途 | 使い方 |
| 太いブラシ |
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| 細いブラシ |
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| 円錐形ブラシ |
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| ミニブラシ |
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| 平たいブラシ |
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洗浄に欠かせないニードルキット

スプレーガン内部には、ニードル弁と呼ばれる部品があります。
ニードル弁とは、スプレーガン内部でニードルを支える部品のことです。
洗浄の際は、必ずニードルを弁から取り外しておきます。
このニードル弁の洗浄に欠かせないのが、ニードルキット(ガンクリーナーセット)です。
ニードルキットは、細い針金のような形状をしています。
なぜならばニードルキットは、ニードルを通す部分に差し込み、塗料カスを掻き出す必要があるからです。
ニードルキットは単品でも購入可能ですが、クリーニングキットの多くにニードルキットは含まれています。
ニードル洗浄の目的
スプレーガンの洗浄には、ニードル洗浄が欠かせません。
ニードルは針のような形状の部品で、ニードルを通すのがニードル弁と呼ばれています。
スプレーガンの中でも特にニードルは塗料の固着が起こりやすいため、ニードル洗浄は非常に重要です。
ニードル洗浄を怠りニードルに塗料が固着すると、塗料の噴出が制御できなくなります。
さらにニードル弁にも固着がみられると、ニードルの動きが悪くなるほかパターン不良や一定の塗布量が損なわれます。
このような状態になると塗料がでなくなるだけでなく塗料漏れも起こるため、ニードルキットを使った丁寧な洗浄が必要となるわけです。
なおニードルキットでニードル弁を洗浄する際は、取り外したニードル本体も洗浄用シンナーなどで汚れをふき取りましょう。
またニードル弁を外した後の塗料の通る溝もシンナーや洗浄液アセトンを使って塗料の通り道をしっかり洗浄して行いましょう。
洗浄ブラシを使ったスプレーガンの洗浄方法

洗浄ブラシを使ってスプレーガンを洗浄する際は、洗浄液アセトンや洗浄用シンナーを使用します。
ラッカ系塗料の使用であれば簡易洗浄で問題ありませんが、ウレタン系の塗料を使用した場合や塗料の固着がひどい場合は分解洗浄をお勧めします。スプレーガンの洗浄方法はこちらのYouTubeをご覧ください。
洗浄の際には洗浄ブラシや洗浄用シンナーのほか、洗浄用シンナーを一時保管する蓋つき缶を用意しましょう。
なお洗浄後は丁寧なふき取りが必要なため、柔らかい布などの用意も必要です。
①塗料カップの洗浄
塗料カップの洗浄は、洗浄用シンナーで汚れを落とします。
DIY塗装初心者は洗浄用シンナーの使用がおすすめですが、洗浄用シンナーの代わりにアセトンを使用することも可能です。
まず塗料カップの中に、洗浄用シンナーを流し込みます。
洗浄用シンナーの量は、塗料カップの蓋1杯分を目安にするとよいでしょう。
洗浄用シンナーを入れた塗料カップを回しながら、内部に残っている塗料を洗浄用シンナーに溶かします。
塗料が溶けだした洗浄用シンナーは蓋つき缶に捨て、新しい洗浄シンナーを塗料カップに注ぎ、塗料を溶かす作業を繰り返しましょう。
洗浄用シンナーが濁らない程度まで繰り返したら、塗料カップの洗浄は終了です。
②塗料回路の洗浄
塗料回路は、分解洗浄ができません。そのため塗料回路は、「うがい」と呼ばれる方法で洗浄するのが一般的です。
うがいは、スプレーガン洗浄において非常に重要な作業です。分解洗浄の際はもちろん、日々のお手入れでも欠かせません。
なおうがいはDIY塗装初心者でも簡単にできるので、塗料回路の基本的な洗浄法として覚えておきましょう。
③竹ブラシで洗浄
塗料カップの外側は、竹ブラシを使って洗浄するのがおすすめです。
塗料カップの外側は、塗料漏れなどで汚れていることがあります。
内部よりも空気に触れるため、外側に塗料が付着すると固着しやすいです。
固着した塗料を落とすことは非常に時間がかかるため、塗料カップを洗浄する際は外側の塗料汚れもきれいに落としましょう。
洗浄する際は直接竹ブラシでこすり落とすのではなく、ブラシに洗浄用シンナーを含ませてください。
キャップにこびりついた塗料はあらかじめ薄め液に漬けておき、固着した塗料がふやけたらブラシで擦り落としていきましょう。
塗料カップ外側の汚れが落とせたら、内部にこびりついている塗料カスも竹ブラシで擦り落とします。
なお内部の汚れをこすり落とす際には、少量の洗浄用シンナーをカップに入れた状態でこすると落としやすいです。
④塗料ノズルの洗浄
塗料の最終出口となる塗料ノズルも、洗浄ブラシで洗浄しましょう。
通常時のスプレーガン洗浄では、塗料ノズルを本体につけたままの状態で塗料カスをこすり落とします。
しかし詰まりを起こしている場合や長期間使用していなかった場合は、必ず塗料ノズルを本体から取り外してください。
取り外した塗料ノズルは、塗料ノズルの外側だけでなく内側もチェックし、汚れた部分は洗浄用ブラシで落とします。
塗料をこすり落とした後は取り外した部品を塗料カップに入れ、洗浄用シンナーを流し込んで浸け置きしましょう。
なお浸け置きの際はシンナーが気化しないよう、塗料カップの蓋を締めて保管します。
【洗浄の基本】スプレーガンのうがいとは?

塗料回路の洗浄は、「うがい」という洗浄方法で行うのが基本です。
塗料カップに洗浄用シンナーを入れ、空気キャップを手でふさぐことでスプレーガン内部に洗浄用シンナーが逆流します。
うがいは、洗浄用シンナーに塗料が混ざらなくなるまで数回繰り返すことが重要です。
うがいのやりかた
①塗料カップに洗浄用シンナーを入れ、②空気キャップの先端を手でしっかりと塞ぎます。
③引き金(トリガー)を引いてください。
引くことによって、洗浄用シンナーがガン内部に逆流します。
正しく逆流が起こると、塗料カップ内の洗浄用シンナーがブクブクと音を立てて泡立ちます。
④逆流させた洗浄用シンナーは蓋つき缶に捨て、①~③を数回繰り返しましょう。
洗浄用シンナーに塗料が混ざらなくなったら、⑤捨て吹き(空吹き)をします。
洗浄用シンナーを塗料カップに入れ、そのまま引き金を引いてください。
捨て吹きも、捨て吹きした洗浄用シンナーに塗料が混じらなくなるまで繰り返しましょう。
作業の注意点
うがいを行う際は、通常よりも空気圧を低めに設定してください。またうがい作業中は、エアーをつないだまま行うようにしましょう。
換気の良い場所でうがい作業を行うことも、安全面での注意点として重要です。
場合によっては、保護メガネを装着して作業するのも良いでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
この記事では、スプレーガン洗浄に欠かせない専用ブラシの特長や使い方を解説してきました。
スプレーガンは、塗料に直接触れる部分で塗料が硬化すると詰まりが起こります。そのため詰まり防止として、使用の度に洗浄をするのが基本です。
通常の塗料汚れは洗浄用シンナーで落とせますが、細かな部分や空気穴などは洗浄ブラシを使って丁寧に落とす必要があります。
なお、ガンクリーナーセットを購入する場合は、ニードル洗浄に欠かせないニードルキットが含まれるものを選ぶのがおすすめです。
また分解洗浄後にメンテナンスオイル(弾かないオイル)を必ず使用してください。
※メンテナンスオイル以外のオイルやグリスを使用すると塗料塗膜に反応して塗装面が弾いてしまいます。
干渉する各パーツOリングやニードル弁・樹脂部分に塗ると次に使用する際にスムーズに作動しますので、スプレーガンはメンテナンスを行った後に保管していきましょう。
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