
スプレーガンの扱い方!準備~片付けまで初心者に最適なメンテナンスを解説
スプレーガンは車の補修塗装から家具のリメイクまで幅広く活躍する塗装道具です。
しかし、正しい扱い方を理解していないと様々なトラブルを引き起こし、仕上がりにも影響がでてしまいます。
この記事では初心者向けに、道具の準備~扱い方、後片付けに必要な洗浄方法やメンテナンスなどを、まとめています。記事の内容を参考にスプレーガンを活用してみてください。
目次
1.スプレーガンの基礎知識
2.スプレーガンの使用前の準備
3.スプレーガンの正しい持ち方と吹き方のコツ
4.スプレーガンの塗装手順
5.スプレーガンの使用後の洗浄・後処理
6.スプレーガンのメンテナンス方法
7.スプレーガンを安全に扱うための注意点
8.まとめ
スプレーガンの基礎知識
スプレーガンの基礎知識をご紹介します。
メリット・デメリットのほか、つまづきやすいポイントや危険性もお伝えします。
スプレーガンの仕組みと特徴

スプレーガンは、コンプレッサーで作った圧縮空気の力を利用して塗料を霧状(ミスト)にして対象物へ吹き付ける塗装用工具です。
ノズルの外に吹き出した空気が一気に膨張する力で塗料を微粒化し、均一な塗膜を作ります。
主な構成要素は次のとおりです。
- トリガー(引き金)
- カップ(塗料容器:上カップ=重力式 / 下カップ=吸上式)
- ノズル・ニードル
- エアキャップ
- 3つの調整ネジ(パターン調節ネジ・塗料吐出量調節ネジ・エア量調節ネジ)
上記のパーツは、スプレーガンの性能と仕上がりを左右する中核部分です。塗料はカップから供給され、ノズルとニードルのかみ合わせによって噴出量と粒子の細かさが決まります。
スプレーガンの一番のメリットは、広い範囲を短時間で塗装することで、凹凸形状にもムラなく塗れ、刷毛や缶スプレーより均一な仕上がりになります。
作業中は塗料の飛散やコンプレッサーや機械などの騒音、臭いへの配慮が必要な点がデメリットとしてあげられます。ウレタンのような、有機溶剤を使用した塗料はミストが有毒なため、防護具の着用や十分な換気をしましょう。
※吸引すれば人体に悪影響(中枢神経抑制、シンナー中毒、呼吸器系の障害)を引き起こす可能性があります。
初心者がつまづきやすいポイントと危険性
初心者の代表的な失敗例として、ムラ・垂れ・ざらつきが挙げられます。
塗装のムラ(濃淡・スジ)は、ガンの移動速度がバラバラで一定にならず、パターンの重ね幅が不足していることで起こります。
塗料の垂れは、ガンが塗装面に近すぎる、塗料の吐出量が多い、一度で厚塗りするなどで起こる失敗です。
ざらつき(ゆず肌傾向)は、ガンが塗料面から距離が遠すぎる、塗料の濃さ・エア圧・距離のバランス崩れていることが原因です。
また、安全面への配慮も欠かせません。有機溶剤や塗料ミストの吸入による健康被害が報告されています。シンナー、ウレタンなどによる火災や爆発の危険を伴うので特に注意が必要です。
高圧噴射による皮膚への刺入事故のリスクもあげられるため、特にエアレススプレーガンを使用する場合は気を付けましょう。
スプレーガンの使用前の準備

まずは、スプレーガンを使用するための環境や準備を整えましょう。
ここからは、道具の準備・塗料の準備・スプレーガンの調整まで解説します。
必要な道具と作業環境を整える
スプレーガンを活用するためには、以下の道具が必要です。
- スプレーガン本体(重力式 / 吸上式 / 圧送式など)
- コンプレッサー(必要空気量を満たすもの)
- エアホース、カプラ、エアフィルター
- 塗料、シンナー(水性の場合は水)
- マスキングテープ、マスカー、養生シート
- 洗浄用シンナー・ガン洗浄用クリーナー
道具だけではなく、作業環境も整える必要があります。
ガレージなど近隣にミストが飛ばない場所で換気を確保し、早朝・夜間のような騒音が響く時間は避け、お昼から夕方頃の時間帯で作業を行いましょう。
塗料の準備(攪拌・希釈・ろ過)
塗料をよく攪拌し、缶底までしっかり混ぜて均一にします。
メーカー指定の希釈率に従い、説明書どおりに計量カップで正確に量ります。吸上式・重力式は、やや粘度を落とすと扱いやすいので少しずつ調整してみてください。
次にゴミやダマを防ぐため、紙フィルター(濾し紙)で塗料をこしてからガンカップへ注ぎます。
段ボールに試し吹きし、パターンとミスト状態を確認すれば準備完了です。
塗料の準備は仕上がりに直結する重要な工程なので、攪拌・希釈・ろ過はきちんと行いましょう。
スプレーガンの調整①:エア圧の調整
コンプレッサー側レギュレーターで基準圧を設定します。
- ガン側のエア調整ネジで微調整
- メーカー指定圧(例:0.2〜0.3MPa)に調整
段ボールへの試し吹きでざらつく場合は圧を下げるか、距離を少し詰めます。ミストが粗く吹き出しが不安定な場合は圧をやや上げます。気温・湿度など環境条件により、圧力を調整してみてください。
スプレーガンの調整②:パターン幅・噴出量の調整
パターン調節ねじは、締めると円に近づき、塗布できる面積が狭くなります。緩めると楕円でワイドなパターンに変化。
塗料吐出量調節ネジは、ニードルのストロークを制限し、吐出量を決定します。徐々に増やす方が垂れにくいので、まずは少なめの設定から進めていくのがおすすめです。
エア量調節ねじは、エア量を制御します。基本的に全開から進め、少しずつ調節していってみてください。
パターン・吐出量・エア圧・距離はセットで調整するのがポイント。試し吹きしながらバランスを取っていきましょう。
スプレーガンの正しい持ち方と吹き方のコツ

スプレーガンの正しい持ち方をすると塗装がしやすくなります。併せて吹き方のコツも紹介しますので、参考にしてみてください。
スプレーガンの正しい持ち方

スプレーガンの正しい持ち方は、片手でグリップを握り、もう一方の手でカップを軽く支えると安定します。
トリガーは、空気・塗料の順で作動する2段階構造です。
軽く握った段階では空気だけが先に流れ、さらに深くトリガーを引き込むと塗料が混ざって噴射します。
まず風が出て、次にその風に塗料が乗るイメージです。正しい持ち方をしていないと、塗装トラブルや手首を痛める原因になります。トラブルを回避するために、正しい持ち方で塗装しましょう。
塗装面に対する角度と距離(15〜20cm・垂直)
- ガンと塗装面は常に垂直を保つ
- 距離は15cm前後が目安
近すぎると厚塗りになり垂れやすく、遠すぎると塗膜が薄く、ざらつきが出やすいので角度と距離は必ず守るようにしましょう。
一定速度で平行に動かす
ガンをワイパーのように弧を描いて振るとムラになりやすくなります。塗り始めは、塗布範囲の少し手前からトリガーを引き始め、範囲を通過してトリガーから手を離すのがコツです。
動かす速度は一定を心がけましょう。塗布面の端はスピードが落ちてしまいがちなので、最後まで気を抜かないでください。
各ストロークは1/3〜1/2ほど重ねて塗り筋を消すと、塗り筋が目立ちません。
以上のポイントを意識して動かすと、均一な美しい塗装に仕上がります。
スプレーガンの塗装手順

仕上がりの均一さや艶を大きく左右するため、スプレーガンの塗布手順への理解は欠かせません。ここからは、スプレーガンの塗装の下地処理から本吹きまでを解説します。
Step1:塗装面の下地処理(洗浄・脱脂・研磨)
下地の処理は次の順で行いましょう。
まずは洗浄し、塗装物に付着している、埃・研磨粉・旧塗膜の浮きなどの汚れを除去します。キズや凹みがある場合は、パテ埋めで補修をこの段階で済ませておく必要があります。
パテが乾いたら、シリコンオフで油分やワックスをしっかり落とし脱脂します。汚れや油分が残ったまま塗装すると、剥がれ・はじき・ピンホール・ムラの原因になります。
Step2:塗装しない箇所へのマスキング
マスキングは塗料が余計な場所につかないようにするために行います。
窓・タイヤ・ガラス・床など、塗料が付くと困る箇所は、マスカーやビニールを組み合わせ、テープで完全に覆いましょう。テープの端はしっかり押さえて隙間をなくすのがポイントです。
塗装後、塗膜が固まる前にテープを外すと、境界がよりきれいになります。固まる前に剥がすときは、塗料に手がつかないように注意してください。
Step3:捨て吹き→本吹きの流れ
スプレーガンの吹き方については、別記事で紹介しているので、ここではスプレーガンの捨て吹きから本吹きの流れを説明します。
①「捨て吹き(タックコート)」
やや速めに薄く一度全体を覆う
②「インターバル」
半乾き〜手で触って付かない程度まで待つ
③「本吹き(2〜3回)」
1回ごとにインターバルを置きながら塗り重ねる。
1度で厚く塗ろうとしないことが、垂れ防止と仕上がり安定のポイントです。
塗料によって異なる注意点(水性・溶剤)
塗料により扱いが変わるので、それぞれの注意点を紹介します。
特に溶剤は扱いに注意が必要です。
| 水性塗料 | 溶剤(油性・2液ウレタンなど) |
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塗装作業を始める前に必ず注意点を確認し、安全に作業を開始しましょう。
スプレーガンの使用後の洗浄・後処理

スプレーガンの使用後の洗浄・後処理は必ず使用直後に行うようにしてください。
使用直後はまだ塗料がやわらかく、汚れも落ちやすい状態です。固まる前に洗浄すると、スプレーガンの詰まりを防げます。
ここからは洗浄に必要な道具~手順まで、詰まりを防ぐためのポイントや失敗しやすい例をご紹介します。
洗浄に必要な道具
- 洗浄用シンナー
- ガンカップ用の洗浄容器
- ニードルブラシ等の小ブラシ
- ウエス・手袋
これらの道具を揃えて、洗浄を行いましょう。
分解洗浄の基本手順(重力式/吸上式)
スプレーガンの分解洗浄を始める前に、カップ内の余った塗料があれば、元の缶や廃棄容器に戻しておきましょう。
空のカップへ洗浄液を入れて振り、専用ブラシ(ガンクリーナセット)で内部を洗います。
ブラシ洗浄が終了後、洗浄液を噴射し、ガン内部の塗料を押し出す作業を約3回繰り返してください。
続いてカップ・エアキャップ・ノズル・ニードルを分解します。各部品を洗浄液とブラシで隙間までよく洗い、汚れが落ちたら乾燥させます。
乾燥完了後に組み立て、軽くエアを通して水分を飛ばしましょう。ガンの外面とカップの外面の汚れは、シンナーを付けたウエスでふき取ると、きれいに仕上がります。
ニードル・ノズルの詰まりを防ぐポイント
ニードルやノズルが詰まってしまうと、塗料がうまく噴出できません。
詰まりを防ぐためにポイントをおさえておきましょう。
詰まりを防ぐポイントは使用後は放置せず、すぐに洗浄することです。ノズルやエアキャップの穴は汚れが残りやすいので、ブラシで隅々まで洗ってください。
ニードル先端やシート部に傷・摩耗がないかチェックし、必要に応じて交換しましょう。
失敗しやすい洗浄のNG例
外側だけざっと拭いて洗浄を終わる、カップ内だけすすぎ内部通路を洗わないなど、洗浄が甘いと塗料が残ってしまい、トラブルの原因につながります。洗浄が不十分なまま長期保管をすると塗料が固着し、スプレーガンの性能を損なう恐れがあります。
高圧エアを至近距離で部品に当て過ぎると、ゴム部品やパッキンを傷めるため、注意しましょう。
スプレーガンのメンテナンス方法

スプレーガンのメンテナンスを怠ると、さまざまな不具合が発生し、塗布がうまくできなくなってしまいます。
ここからは、基本のメンテナンスから不具合の対処方法まで解説します。
毎回行うべき基本メンテナンス
スプレーガンをベストな状態で使用するためには、基本メンテナンスが欠かせません。
使用後は、ノズルやカップなどの分解洗浄は必ず行い、外装の付着ミストを拭き取りましょう。
トリガー周りなど可動部は少量の潤滑油(弾かないメンテンナスオイル)を差すことを忘れずに行い、常に動きを滑らかにしておくのもポイント。ノズルやニードルなどの重要部の目視チェックも大切です。
定期的に確認する消耗品
パッキンやOリング類はひび割れと硬化が進むと密閉性が低下するため、定期的な確認は欠かせません。ニードルスプリングは徐々にヘタり、ノズルやニードルの摩耗や傷は噴霧状態に影響します。
国内メーカーが、パッキンやニードルなどを純正交換部品として用意しているので、手軽に購入できます。パッキンやニードルなどは消耗品なので、状態が悪ければすぐに交換するようにしましょう。
よくある不具合と原因・対処法
スプレーガンメーカーが挙げている代表例が以下の3点です。
| パターンが左右どちらかに偏る | ガン先からポタポタ垂れる | 吐出が不安定・弱い |
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これらは洗浄不足・メンテナンスがきちんと行われていないため、起こるトラブルです。
特に洗浄は大変な作業ですが、不具合を防ぐために、しっかりと洗浄・メンテナンスをしましょう。
スプレーガンを安全に扱うための注意点

スプレーガンを安全に扱うためには正しい活用方法と同時に、よくあるトラブルを押さえておく必要があります。
ここでは、スプレーガンに関する注意点やトラブル例をご紹介します。
個人防護具
自動車塗装・メーカー取説でも、以下の防護具の着用は必須となっています。
- 有機溶剤対応の防毒・防塵マスク
- 保護メガネまたはゴーグル
- ニトリルなど、対溶剤性手袋
- 帽子やタオルで髪を保護
- 長袖・長ズボンの作業着
個人防護具の装着を怠ると、ミストを吸い込んでしまい、喉の痛み・咳・めまい・頭痛といった症状を引き起こす可能性があります。
また、目に入ると充血・痛み・角膜炎以外に、視力障害が出てしまう可能性も。皮膚へ付着すると、肌荒れ・かぶれ・炎症の原因になります。スプレーガンで塗装を行う際には、自身の健康・安全を守るためにも、防護服は必ず着用しましょう。
換気・火気・VOC対策
近隣に配慮したガレージで、十分な換気ができる場所で作業を行いましょう。揮発性溶剤を使用するため、タバコやストーブといった火気は厳禁です。
換気を怠ると健康被害・視界不良・発火などトラブルを引き起こします。身体の異常を感じた場合は、ただちに作業を中止して医師の診察を受けるようにしてください。
塗料シンナー廃液の扱い方
シンナーや塗料は、絶対に排水溝に流さないでください。専用容器に回収し、自治体や産廃業者の指示に従って処理します。
シンナーを含んだウエスは自然発火リスクもあるため、広げて乾燥させてから廃棄すると安全です。
シンナーは扱いを間違えると健康被害や火災など大きな事故につながるため、注意事項を守って処分しましょう。
室内での飛散を抑える方法
室内で飛散を抑えるためには、屋外かガレージでの作業がおすすめです。ただし、生活環境によっては難しい場合もあるでしょう。
室内の場合は、段ボールなどの簡易ブースや広めの養生でミストを囲い込みます。
パターン幅やエア圧を必要以上に大きくしないことで、オーバースプレーを減らすことも有効です。
初心者に多いトラブル例
初心者はスプレーガンの扱いに慣れていないため、トラブルを起こすことがあります。よくあるのが、マスクの装着や換気をせず、頭痛や気分不良を起こしてしまうケースです。
塗装技術の場面では、養生不足で車・窓・床など想定外の場所に塗装してしまったり、一度で厚塗りして垂れてしまうトラブルも発生しています。
洗浄やメンテナンスを怠り、次回使用時にガンが詰まって使えなくなることもあります。
どの事例も正しく対処していれば事前に防げるトラブルばかりです。スプレーガンの扱い方や準備~後片付けを軽視しないようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、スプレーガンの扱い方について解説しました。
スプレーガンは作業効率や仕上がりのクオリティに大きく影響する道具です。
そのため、正しい扱い方を理解することが重要です。
正しい手順で扱えるようになると、スプレーガンの寿命を延ばし、塗料のムダを減らせます。また、作業中のトラブルや健康被害が防ぎ、周囲への迷惑が軽減できる点もメリット。
塗装作業は丁寧さと効率の両立が求められる作業です。安全面に配慮しながら、スプレーガンを正しく扱うことで、より快適で満足度の高い仕上がりを実現できます。正しい扱い方を覚えて安全・快適に塗装を楽しみましょう。
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