
【蓄光粉の配合量】発光を最大にする配合率|正しい混合方法と施工時のポイント
蓄光粉を使ったオリジナル塗装において、発光性能を最大限に引き出しつつ耐久性を両立させるには、明確な数値の順守が不可欠です。

この記事では専門メーカー3社の技術データをもとに適切な配合率を導き出しつつ、混合手順や施工時の粘度調整、スプレーガンの仕様などを解説します。
配合ミスによる塗装不良の例なども紹介するので、理想の蓄光塗装を実現するためのガイドとしてご活用ください。
目次
1.蓄光塗料の基礎知識
2.【データで見る】発光を最大にする適切な配合率
3.クリア塗料の選び方
4.配合量の過不足による塗装不良
5.ダマを防ぎ均一に仕上げる混合方法
6.粘度の調整と希釈率
7.塗装方法別のテクニック
8.まとめ
蓄光塗料の基礎知識

蓄光塗料とは、太陽光や蛍光灯などの紫外線エネルギーを蓄え、暗闇で自ら発光する特性を持つ特殊塗料のことです。
その特性から安全標識や避難誘導表示などの防災用途から、夜釣り用ルアー、自転車・バイクのカスタムペイント、各種ホビーまで幅広く利用されています。
よく似た特性を持つ塗料としてケイムラ(蛍光紫)がありますが、ケイムラは紫外線に当たっている間だけ光ります。
これに対して蓄光塗料は、光が消えた後も長時間発光し続けるのが大きな違いです。
さらに光の吸収と発光を半永久的に繰り返すことができるため、寿命が非常に長いです。
【データで見る】発光を最大にする適切な配合率

| 専門ソース先(企業・メーカー名) | 公表データ・推奨されている配合比 |
| 根本特殊化学株式会社(NEMOTO)
※高輝度蓄光顔料(N夜光)開発元 |
一般塗装仕様における顔料の推奨充填量は10~40%(実用輝度の確保には20~30%以上) |
| シンロイヒ株式会社(SINLOIHI)
※蛍光・蓄光塗料の大手メーカー |
高輝度蓄光パウダーの公式マニュアルにて「重量比:クリア塗料7~8に対し蓄光粉2~3」(粉の含有率は20~30%)を推奨 |
| 国内特殊資材・ケミカルメーカー
※プロ仕様ホビー・DIY用塗料メーカー |
発光輝度と乾燥後の粘度強度のバランスが最も美しく維持される限界値として「重量比で最大30~40%」を提示 |
蓄光粉の調合において明るさを追求しようとやみくもに配合量を増やすことは、塗装不良を引き起こす最大の原因となります。
しかし推奨される配合比は塗料(販売メーカー)によって異なっているため、一律の数値を提示することはなかなかできません。
塗料独自の効果を最大限に発揮させるには、取扱説明書で提示された推奨値に基づいて調合する必要があります。
黄金比は「重量比で20~30%」
業界をけん引するトップメーカー3社の公表データを分析すると、発光性能を極限まで高め、塗料としての実用性を両立させる黄金比は「重量比で20〜30%」となります。
つまりクリア塗料を100g使用する場合は、蓄光粉を20~30gとするのが最適であるといえます。
なお重量の計測は体積で測るのではなく、必ずデジタルスケールを用いて厳密に計測することが、失敗を防ぐための重要なポイントです。
この比率はあくまでも刷毛塗りを前提としており、吹付やエアブラシでの吹付の場合は、比率が下がります。
エアブラシの場合0.2~3%が黄金比となり、何度も吹き重ねることによって光度を高めていきます。
クリア塗料の選び方

蓄光粉を混ぜるクリア塗料は、透明度が極めて高く、紫外線による黄変が少ないものを選ぶことが重要です。
なぜならクリア塗料が濁ったり黄変すると光の透過を遮り、発光輝度が著しく低下するからです。
蓄光粉の調合に適したクリア塗料には、「2液型ウレタンクリア」「エポキシクリア」「アクリルクリア」の3種類があります。
2液型ウレタンクリアー
2液型ウレタンクリアは、耐候性・耐薬品性・粘膜強度が最強な塗料です。
ガソリンや紫外線にも強いため、自転車やバイク、ルアーなど耐久性が求められる本格的な塗装に適しており、おもしろ塗装工房ではプロ仕様の塗料として推奨しています。
エポキシクリア(樹脂)
エポキシクリアは、肉厚で立体的な仕上がりを表現するのに最適なクリア塗料です。
紫外線で黄変しやすいため、主にアクセサリーやキーホルダー、ホビーなど屋内用の作品作りに適しています。
アクリルクリア
アクリルクリアは、乾燥が早く1液型で手軽に扱えるのが最大のメリットです。
ただし屋外での耐候性や耐溶剤性はウレタンに劣るため、プラモデルやフィギュアなど屋内用ホビー・模型塗装におすすめです。
配合量の過不足による塗装不良

| 配合量の状態 | 数値的境界線 | 発生する塗装不良 | 発光性能への影響 |
| 多すぎる場合 | 50%以上(40%以上で飽和) | ・乾燥後にひび割れや剥離が起こる
・表面に激しいざらつきが発生する ・ボンドのようにドロドロになり、ノズルが目詰まりして施工不可になる |
40%をこえた時点で明るさは完全に頭打ちとなり、それ以上増やしても変わらない |
| 少なすぎる場合 | 20%未満 | ・暗闇で均一に光らず、斑点状にまばらに光る
・十分な明るさを得るために塗り重ねの回数が増える ・作業効率が低下し、資材が無駄になる |
粒子が分散しすぎるため、面としての十分な輝度が得られず発光が弱くなる |
配合量が多すぎる場合(50%以上)
蓄光塗料の表面積あたりの発光性能は、40%を超えた時点で完全に飽和するため、それ以上量を増やしても明るさは変わりません。
それどころか接着剤の役割を持つ樹脂成分が不足し、乾燥後に塗膜のひび割れや剥離、表面に激しいざらつきが発生します。
また塗料がボンドのようにドロドロな状態になるため、エアブラシなどのノズルに詰まり、施工ができなくなります。
配合量が少なすぎる場合(20%未満)
クリア塗料の中で蓄光粉の粒子が分散しすぎるため、暗闇で光らせた際に均一に光らず、斑点状でまばらに光る現象が起きます。
この状態でも塗装は可能ですが、十分な輝度を得るためには塗り重ねる回数を増やさなければならず、結果として作業効率の低下と資材の無駄を招きます。
しかし少しずつ塗り重ねることによって光源を調整できたり、口径の目詰まりを防ぐには最適な方法ともいえるでしょう。
ダマを防ぎ均一に仕上げる混合方法

蓄光粉は、ガラスや鉱物に近い粗い結晶粒子のため、クリア塗料に直接投入すると中心が混ざりきらず、高確率でダマになってしまいます。
ダマを防ぎ粒子一粒一粒を均一に分散させるためには、正しい道具選びと正しいミキシング手順に沿って作業することが重要です。
用意すべき道具一式
| 道具 | 仕様目安 | 用途 |
| ①デジタルスケール(電子秤) | 0.1g単位で計測可能なもの | 黄金比を感覚に頼らず厳密に計るための必須アイテム |
| ②調色カップ(ポリカップ) | 塗料や溶剤に溶けないポリエチレンやポリプロピレン製 | 予備混合から本混合まで、ダマを作らずスムーズに撹拌するための調合容器 |
| ③攪拌棒 | 先端が平らな金属製または割りばし等でも対応可 | カップの底や隅にたまった蓄光パウダーを均一にすくい上げ、練り合わせる |
| ④専用のうすめ液(シンナー) | 使用する2液性クリア塗料の純正指定シンナー(夏用・冬用) | 最初の予備混合では粉をペースト状になじませ、最終的な粘度調整も行う |
デジタルスケールでの正確な計量
感覚を一切排除し、数値をもとに厳密な調合を行うには、デジタルスケールが必須です。
まず計量する前にデジタルスケールの上に調色カップをのせ、表示をゼロにしてください。
その後目標とする重量比(クリア塗料と蓄光粉)を、デジタルスケールで厳密に計ります。
なお調色カップ内には、必ず蓄光粉よりも先に薄め液を投入してください。
予備混合で中心部にダマを防ぐ
大量のクリア塗料を一気に注ぎ込むと、蓄光粉の表面にクリア塗料が膜をはってしまうため、中心にダマができてしまいます。
まずは塗料指定の薄め液を、カップ内の蓄光粉が浸る程度のごく少量だけ加え、攪拌棒の先端を使って蓄光粉とシンナーをじっくり練り合わせます。
これを「予備混合」といい、蓄光粉がシンナーを吸い、しっとりとしたペースト状になれば完了です。
また、蓄光粉の比重が高いためすぐに沈殿してしまいます。なので吹付時や刷毛塗り時は常に攪拌棒で撹拌し、塗る直前まで攪拌を心がけることが、均等に塗る重要な工程といえます。
クリア塗料の分割投入で均一に混ぜる
ペースト状になった蓄光粉に対してクリア塗料を混ぜ合わせる際には、少しずつ分割して注ぎ入れるのがポイントです。
クリア塗料を注ぐたびに、攪拌棒を使ってカップの底や壁面に付着したペースト状の蓄光粉をすくい上げてください。
この時に泡立たせないようにするため、一定方向に優しく円を描くように攪拌させます。
全体がダマのない均一で滑らかな状態になれば、蓄光塗料の完成です。
粘度の調整と希釈率

蓄光粉を混ぜ合わせた直後は、粉の体積によって元のクリア塗料よりもドロッとした状態に変化しています。
この状態のままで塗装をすると、糸を引いたりゆず肌(塗り肌がデコボコになる)がおこるため、適切な粘度に希釈する必要があります。
完全塗料全体重量に対して約20~30%のシンナー
蓄光塗装に適した状態にするには、「完成した塗料全体の重量に対して約20~30%のシンナー」を目安に加えるのがおすすめです。
適切な粘度に達していれば、攪拌棒で持ち上げたときに途切れず滑らかに滴り落ちますし、液面の波紋も1~2秒でスッと平らになります。
なおプロの現場ではエアブラシのノズル詰まりを防ぐために、通常よりやや低粘度に仕上げています。
塗装方法別のテクニック
塗装方法は、エアブラシ・スプレーガンを使用する方法と筆塗り・刷毛塗りを使用する方法があります。
エアブラシ・スプレーガンの口径サイズ選定
市販されている高輝度蓄光パウダーの粒子サイズは平均15~50ミクロン前後で、一般的なメタリック塗料のアルミ粒子よりもかなり粗いです。
例えば弊社蓄光粉グリーンは約17μ(0.017mm)という事になり、口径0.2mm~0.3mmでは、物理的に一瞬でノズルに詰まることが多々あるため、混合比は0.2%~3%に抑え何度も吹き重ねることが重要。
通常の1.3口径前後のスプレーガンの場合は上記説明にもあるように20%~30%
そこでスプレーガンの口径は、最低でも1.3mm~1.5mm以上、可能であればサフェーサー用や大物用に使われる1.4mm前後の口径を選ぶのが正しい仕様です。
明治F-Force typeT(ノズル口径1.4mm)がお勧めです。
エアブラシ・スプレーガンの塗装中の沈殿対策
スプレーガンのカップ内でも、蓄光粉は数十秒単位で底に沈んでいきます。
そのためそのままの状態で吹き続けると、最初は粉ばかりが出て、後半はほぼクリア液しか出なくなり塗装ムラが発生します。
このような状態を防ぐために、塗装中は1往復吹き付けるごとにガン本体を優しく回したり、うがい(エアーを逆流)させ、カップ内の塗料を常に攪拌する動作を徹底しましょう。
筆塗り・刷毛塗りの運筆
筆や刷毛を往復させて塗ると、均一に並びかけた粒子を筆先が引きずり、特定の場所に粉が固まる掃きムラが起こります。
これを防ぐためには左から右、上から下のように、一方向に向けて優しく滑らせるように運筆することが重要です。
筆塗り・刷毛塗りのポイント
一度に厚塗りをすると、塗料の重みによって蓄光粉が液だれを起こし、下側にだけ粉が偏ります。
液だれを防ぐためには「薄く塗って完全に乾燥させる」工程を、3~4回繰り返して層を積み重ねるしかありません。
この一見手間のかかる作業を繰り返すことによって、肉厚でありつつも均一な発光層を作り出すことが出来ます。
まとめ|
いかがでしたでしょうか?
この記事では専門メーカー3社の技術データをもとに適切な配合率を導き出しつつ、混合手順や施工時の粘度調整、スプレーガンの仕様などを解説してきました。
蓄光粉で発光を最大にするには、感覚を一切排除し、プロ仕様の明確な数値を厳格に守ることに尽きます。
適切な配合率は「重量比の20~30%」ですが、体積ではなくデジタルスケールで正確に計量することが重要です。
その上で予備混合法でダマをなくし、施工中も絶えず攪拌疎し続ける事で、美しい塗面を作り上げることができます。
なおおもしろ塗装工房ではプロ仕様の2液型ウレタン塗料をはじめ、特殊塗装を成功させるための資材や実践的なノウハウを数多く取り揃えています。
さらに素材に合わせたクリア塗料選びや調色方法に関する具体的な悩みなども、丁寧にお答えするので、お気軽にご相談ください。
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