
初心者でも失敗しない!ルアーをキャンディメタリックに塗装するテクニック
市販のルアーに理想の色が見つからない、または自分だけのオリジナルカラーでメタルジグを塗装したい時におすすめなのが、ルアーの自作(リペイント)です。
特に近年人気を集めている「ステイン・キャンディカラー」は、奥深い輝きを表現できるため、手に入れれば最強の武器となるはずです。
しかし市販品のような深く透明感のある輝きを表現するには、大きな壁があります。
そこでこの記事では、塗装初心者でもメタルジグを極上のキャンディメタリックに仕上げるためのテクニックを解説します。
目次
1.ステイン・キャンディーカラーとは
2.メタルジグのキャンディ塗装に必要な道具
3.塗装前に必ずすべき下準備
4.キャンディ塗装の基本プロセス
5.ジグに「メタリックグリーン+ゴールド」を塗装するには
6.まとめ
ステイン・キャンディカラーとは

ステイン・キャンディカラーの最大の特徴は、透明度の高さにあります。一般的なルアー塗装にはソリッドカラーと呼ばれる不透明な塗料が使われていますが、キャンディカラーは下地を透過させる透明な塗料です。
そのためキャンディ塗装では「色を塗る」ではなく、「色が付いた透明な膜を作る」ことが重要になります。
奥行きのあるメタリックになる仕組み
キャンディ塗装では、多重構造で仕上げるのが最大のポイントです。下地層ではシルバー(メタリック)を塗装し、光を反射させるための土台を作ります。
その上に透明なキャンディカラーを塗り重ねることで、色を付けていきます。
こうしてできた塗装面に光が当たると、一番上の透明なカラー層を突き抜け下地のシルバーで反射し、再度カラー層を通って「色」として目に届く。
このように光が塗膜の中を往復する過程で、キャンディカラーは光に色付けをします。
そのためキャンディ塗装ではただのメタリック塗装にはない、奥深い透明感を表現することができます。
ルアー塗装におけるメリット
ルアー塗装におけるキャンディカラー最大のメリットは、圧倒的なフラッシング効果(光の反射)とリアルな生物感です。
カラー層を透過した光が下地層で反射し再び外へ放たれるため、水中では本物の小魚の鱗のような奥深い輝きになります。
さらに、グラデーション表現も得意なため、光の当たる角度や水深によって色合いは複雑に変化します。この圧倒的なアピール力は魚の捕食本能を強烈に刺激するため、タフな状況下でも釣果アップの期待は大きいです。
ルアー塗装におけるデメリット
キャンディカラーは、塗装の難易度が非常に高い点が最大のデメリットです。
下地を透過させる色の付いた塗料であるために、塗膜の厚みや塗り重ねる回数が少しでも変わると、すぐに色ムラや濃淡が出てしまいます。イメージ通りの色を均一に美しく仕上げるには、エアブラシを正確にコントロールする塗装技術が欠かせません。
さらに、キャンディカラーは紫外線による退色(色あせ)が起こりやすい点も、大きなデメリットです。
キャンディカラーにはステインと呼ばれる染料を使っていますが、ステインは光に弱い性質があるため、直射日光や光の反射・紫外線に長時間さらされると徐々に色が薄くなります。(色飛びともいう)
退色(色あせ)を防ぐには、ウレタンクリアーにUVカット材が含まれたプロ仕様のものを必ず使用してください。
メタルジグのキャンディ塗装に必要な道具

キャンディ塗装では、3種類の塗料(下地塗料・キャンディカラー・2液型ウレタンクリアー)を使います。缶スプレーで塗装することも可能ですが、美しいグラデーションの表現にはエアブラシが欠かせません。
そのため、美しさを追求するならば、塗装初心者でも迷わずエアブラシを準備しましょう。
塗装前に必ずすべき下準備

難易度が高いキャンディ塗装ですが、実は仕上がりの8割を決めるのは下地処理です。
塗装初心者にありがちな失敗の多くは下地処理の甘さが原因で、プロの現場では、塗装作業よりもはるかに多くの時間と手間をかけて徹底的に処理します。
ペーパー掛けによる足付け
メタルジグの表面は金属素材のため、そのまま塗料を吹き付けても滑ってしっかりと密着しません。そこで必要になるのが、足付けです。
足付けとは、耐水ペーパーを使ってジグの表面を擦り、微細な傷をつける作業を言います。
あえて表面をざらざらにすることで、傷の隙間に塗料がしっかりと入り込み、アンカーの役割となって剥がれにくくなります。これが、「アンカー効果」です。
全体がうっすらと曇る程度まで磨くのがポイントで、耐水ペーパーを優しくこすって傷をつけていきます。なおジグは角や凹凸のある部分で剥がれが起こりやすいため、特に丁寧に行うのがポイントです。
シリコンオフでの脱脂
塗料にとって、油分は最大の敵です。油分の中には人の指から分泌される皮脂も含まれるため、ほんの少しジグを触っただけでも表面には油膜ができます。
そこでシリコンオフという専用の脱脂剤で、徹底的に油分を取り除きます。
シリコンオフでの脱脂作業は、柔らかい布やペーパーウエスに染みこませ、表面をさっとふき取るだけです。
たったこれだけの作業ですが、表面に付着した皮脂だけでなく削りカスもすべてきれいに溶かして除去できます。なお、脱脂作業後は、絶対に素手でジグを触らないようにしましょう。
キャンディ塗装の基本プロセス

キャンディ塗装は下地層・カラー層・クリアー層の3層構造のため、塗装の手順も3つのステップで進めるのが基本です。
【下地】シルバーを美しく発色させる
キャンディ塗装で「輝き」の素となるのが、シルバーで作られる土台です。ここで使用するのはメタリックシルバーで、細かなアルミ粒子(金属の粉)が含まれた塗料です。
この粒子をジグの表面に均一に並べることで、上に塗り重ねるキャンディカラーが美しく発色します。吹き付ける際は、エアーを強めに砂を吹き付けるようなイメージで、薄く全体的にのせていきましょう。
10分ほど乾かしたら2回吹き付けますが、2回目は表面が少し濡れてしっとり光る程度を目安にします。このように「薄く塗ってしっかり乾かす」を1回~2回繰り返し、ジグ全体が均一な金属感に包まれたら作業は完了です。
【カラー】ステイン・キャンディカラーを塗る
カラー層を作るステイン・キャンディカラー(染料系の透明塗料)は、「色を塗る」ではなく「色付きのカラーガラスをのせる」イメージで塗布するのがポイントです。
キャンディカラーは透明度が高いため、1回塗布しただけではほとんど発色しません。ここで焦って厚塗りすると、色ムラ(塗料が垂れてしまいその部分だけ色が濃くなる)が起こります。
色ムラを防ぐためには、まずエアブラシをジグから2~3cm離す必要があります。
一度に仕上げるのではなく、最初は手板などで試し吹きをしてから本番塗装に入ることをお勧めします。
さらに、エアブラシの口径は0.3mm〜0.5mm、吹き付ける際にはエアーの圧を0.1〜0.15MPa程度を目安にするのが良いでしょう。
なお、通常は3~5回塗り重ねます、深みを出したい場合は6回以上塗り重ねるのがポイントです。
【保護】ウレタンクリアーでガード
カラー層の保護には、ウレタンクリアーを使います。ウレタンクリアーは透明なコーティング剤で、魚にかまれたり岩にぶつかるなど過酷な環境で使用されるルアーの耐久性を高めます。
ウレタンクリアーには1液型と2液型がありますが、ルアーで使用するのは2液型をお勧めしています。2液型は化学反応によって強固で耐候性・耐溶剤性・耐衝撃性などに耐えうる硬い塗膜を作るため、圧倒的な耐久性が得られます。
ウレタンクリアーも、1度に厚塗りするのは厳禁です。最初はカラー層を溶かさないよう、やや離れた位置からふんわりと細かく全体に吹き付けます。
15分ほど乾かしたら、ジグの表面が水で濡れたように艶々輝く程度を目安に、少し厚みを意識して全体に吹き付けます。
完全に乾けば市販品を超えるほど頑丈な保護膜ができますが、乾くまでは絶対に手で触れないことが重要です。
ジグに「メタリックグリーン+ゴールド」を塗装するには

ルアー塗装で非常に人気が高いのが、「メタリックグリーンとゴールド」の組み合わせです。
どちらもアピール力の高いカラーですが、キャンディカラーの特性である「透明感」を理解していないと、互いの良さを消しあったり色が濁ったりします。
このような失敗には、プロのテクニックで対策するのがおすすめです。
正しい重ね順
キャンディカラーの塗装で最も重要となるのが、「色を重ねる順番」です。キャンディカラーは透明な塗料ですが、重ねる順番を間違えると全く異なる色になってしまいます。
特にやってしまいがちな失敗が、「グリーンの上にゴールドを重ねる」という順序です。
ゴールドの塗料にはアルミや真鍮など微細な金属粉を含んでいることが多く、透明なグリーンの上にかぶせると、下地のグリーンが隠れて全体がくすんでしまいます。
もしもこの2色を組み合わせるならば、「全体的にキャンディゴールドで演出したのち、バック部分を塗りつぶしグリーンもしくはキャンディーグリーンを重ねる」順番が正解です。
下地全体にはメタリックシルバーを塗り、その上からジグ全体にキャンディゴールドを塗ります。
完全に乾いた後にバック(背中)部分にかけてキャンディグリーンを薄く拭き重ねれば、メタリックグリーン+ゴールドの完成です。
このように光を反射しやすいゴールドを一番下の層に仕込み、その上から透明度の高いグリーンをベールのようにかぶせることで、ゴールドの輝きを活かしたまま濁りのない極上のキャンディカラーが表現できます。
「背中にブルー」で美しいグラデーションを表現
プロの裏ワザとして、グリーンを使わずに美しいグラデーションを表現する方法があります。
まず下地シルバーを全体に吹き付けます。その上からジグの背中側にだけ、キャンディブルーもしくはキャンディーブラックを薄く吹き付けてください。
すると上層のブルーが下層のと重なり合い、視覚効果によって境界線から背中にかけて色鮮やかなイワシカラーと変化します。
この手法を使えば、お腹側は鱗を演出、背側は奥深いブルーというリアルな小魚さながらのグラデーションが自然に表現できます。
※メタリックの代わりにホログラムを貼るのが一般的でありますが、ホログラムが無い場合はメタリックで代用が可能です。
魚らしいリアルなぼかしを入れるコツ
背中とお腹の色が直線でくっきり分かれてしまうと、おもちゃのような不自然な仕上がりになってしまいます。
この不自然さを解消するには、エアブラシをコントロールしてぼかしを入れる必要があります。
重要なことは、境界線でエアブラシの手を止めないことです。
ジグから少し遠め(2~3cm)にエアブラシを離し、1秒間に5cm移動させるくらいのスピードを意識して吹き付けます。
その際は塗料の噴出量を少なめに絞るのがポイントで、エアー厚は0.1~0.12MPa程度が理想的です。
吹き付ける方向は「背側から腹側」で、霧の端をふんわり優しく乗せるようなイメージで手を素早く動かします。
境界線がくっきり分かれてしまった場合には、上から薄く希釈したシルバーまたはイエローをふんわりとかぶせ手修正するのが、プロが実践するリカバリー術です。
まとめ|
いかがでしたでしょうか?
この記事では、塗装初心者でもメタルジグを極上のキャンディメタリックに仕上げるためのテクニックを解説してきました。
ステイン・キャンディカラーはプロでも難しい塗装ですが、「丁寧な下地処理」「正しい色の重ね順」「薄く色を重ねる」をおさえれば、初心者でもプロ並みの仕上がりは可能です。
なおおもしろ塗装工房では、プロ仕様のキャンディカラーから塗装の耐久性を高める2液型ウレタンクリアーまで種類豊富に取り揃えています。
色選びや調色で迷ったときには、お気軽にお問合せ下さい。
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