DIYで失敗しない合成樹脂塗料の選び方|水性・油性・4大樹脂の違いを比較

家具や壁の塗装は、初心者にも人気のDIYですが、現在、販売されているDIY向け塗料の主流は合成樹脂塗料ですが、表記には水性や油性、シリコンやウレタンなどの専門用語が並んでいるため、迷ってしまいがちです。

「購入しようとホームセンターに行ったが、売り場に並ぶ塗料の多さに圧倒されて結局買えなかった」という人も少なくありません。

しかし、塗料選びを間違えるとうまく塗れなかったり、すぐ剥がれたりします。

この記事では合成樹脂塗料の基本から種類ごとの特長、メリット・デメリット、さらには塗料選びの失敗を防ぐヒントまでご紹介します。

目次

1.合成樹脂塗料は強固なプラスチック塗膜を作る塗料
2.水性と油性の決定的な違い
3.4大樹脂の特徴・用途・メリット・デメリット
4.素材・環境別の正しい選び方
5.まとめ|

合成樹脂塗料は強固なプラスチック塗膜を作る塗料

合成樹脂塗料とは、プラスチック成分を含んだ塗料のことです。

プラスチック成分が含まれていることによって、乾燥すると強固なプラスチックの薄い膜(塗膜)が表面に形成されます。

この膜が木材や金属などの素材を完全に覆うことで、傷や汚れだけでなく、水分や紫外線などからも保護する役割を果たします。

このように合成樹脂塗料は従来の天然素材が主原料の塗料に比べ、耐久性・耐水性に優れているのが特長です。

DIYでは樹脂の特長を知ることが重要

DIY塗装を成功させるためには、それぞれの樹脂が持つ特徴を正しく理解することが重要です。実は、合成樹脂塗料と一言で言っても、使われている樹脂の種類によって硬さや柔軟性、耐久性、扱いやすさが全く異なります。

さらに塗る場所や目的に合わない樹脂を選ぶと、塗装の段階ではきれいに塗れていても数年でぼろぼろになってしまうことがあります。

そのため合成樹脂塗料を選ぶ場合は、使われている樹脂の性質を事前に把握しておくことが、仕上がりの美しさや耐久性を高める最大のポイントです。

水性と油性の決定的な違い

合成樹脂塗料を選ぶ際、最初の壁となるのが「水性」と「油性」の違いです。水性と油性の決定的な違いは、希釈剤(塗料を薄めるために使用する液体)にあります。

水性塗料は水道水を使って希釈するのに対して、油性塗料はシンナーなどの有機溶剤を使用します。

この希釈剤の違いによって乾燥時間や引火性の有無、作業中のにおいの強さや扱いやすさに大きく違いが出てくるため、要注意です。

比較項目 水性塗料 油性塗料
におい ほとんどなく、室内や住宅街でも安心 シンナー特有の強いにおい(要換気・近隣配慮)
耐久性 油性に比べると、金属への密着性などがやや低い 塗膜が強固で、雨や紫外線にさらされても長持ち
乾燥時間 時間がかかる 比較的早く、気温が低い季節でも乾きやすい
扱いやすさ・片付け 水道水で薄められ、道具も水洗い出来て手軽 専用の薄め液が必要で、片付けに手間がかかる
初心者の主な失敗例 ・乾ききる前の重ね塗りによるヨレ・シワ

・乾燥前の雨や結露による斑点状のムラ

・希釈不足によるくっきりした刷毛目跡

・薄めすぎによる液だれ跡の固まり

管理上の注意点 腐敗やカビ対策のため、希釈した残りは長期保存しない 引火性があるため、仕様・保管時に細心の注意が必要

水性塗料のメリット・デメリット

水性塗料最大のメリットは、安全性の高さと圧倒的な扱いやすさです。水道水で塗料を薄めるため、においはほとんどなく、室内の家具や住宅街での作業でも安心して使用できます。

さらに使い終わった刷毛や道具も水道水で洗い流せるため、DIY初心者には非常に扱いやすいです。

一方で水性塗料は乾燥するまでに時間がかかる点と、乾燥前の天候変化に弱い点がデメリットです。

DIY初心者にありがちな失敗には、表面が乾いているように見えて内部は半乾きの状態であるにもかかわらず、重ね塗りをしてしまい、ヨレやシワができる現象が挙げられます。

また、乾く前に雨が降ったり結露が起きると、塗料が水で流れ斑点状のムラができるかもしれません。

さらに油性と比較すると金属への密着性も低いため、適切な下地処理を怠ると数日もしないうちに剥がれてしまうこともあります。

油性塗料のメリット・デメリット

塗膜の強固さと仕上がりの耐久性の高さが、油性塗料のメリットです。

金属の表面にもしっかりと密着し、雨や紫外線にさらされる過酷な環境下でも長期間にわたって素材を保護します。

また、乾燥時間が比較的早く、気温が低い季節でも作業を進めやすいメリットもあります。油性塗料はシンナー特有の強いにおいが発生するため、屋内で使用する際は徹底した換気や、近隣へのにおい対策が欠かせません。

さらに、刷毛の洗浄も専用のうすめ液が必須で、手間がかかり、DIY初心者は、粘度調整の失敗をおこしやすいです。うすめ液の希釈が足りず濃いまま塗ってしまうと、刷毛の跡がくっきり残ったごつごつした仕上がりになります。

反対に薄めすぎると塗料が垂れてしまい、涙のような液だれ跡が付いたままで固まってしまうことがあります。

引火性もあるため、使用中だけでなく保管時の取り扱いにも細心の注意が必要です。

4大樹脂の特長・用途・メリット・デメリット

合成樹脂塗料は、配合されているプラスチック成分の違いで4つのグレードに分かれます。

これを塗料の世界では「4大樹脂」といいますが、それぞれ耐久性や価格が大きく異なるため、個々の特性をしっかりと理解することが重要です。

樹脂の種類 主な用途 メリット デメリット 耐久性 価格の目安
アクリル樹脂 ・室内の小物

・模様替え頻度の高い家具

・インテリア

・非常に安価

・発色が良く、カラーが豊富

・初心者が気軽に試せる

・耐久性、耐候性が低い

・紫外線で劣化しやすい

・屋外では数年で日々や色あせ

短い(数年程度) 非常に安い
ウレタン樹脂 ・テーブルの天板

・フローリング、建具

・伸縮性のある木部

・塗膜が柔らかく密着性が高い

・木材が伸縮してもひび割れしにくい

・独特の光沢で高級感が出る

・アクリルよりは持つが、紫外線に弱い

・長年経過すると変色しやすい

・シリコンなどには劣る

中程度 標準的(シリコンよりやや安い)
シリコン樹脂 ・戸建ての外壁や屋根

・屋外のウッドデッキ

・常に雨風にさらされる場所

・現在のリフォーム市場の主流

・耐熱性、耐候性が高い

・紫外線や色あせに強い

・アクリルやウレタンより高価

・塗膜がやや硬め

・伸縮性の高い素材はヒビのリスク

長い(高コスパ) 標準
フッ素樹脂 ・大型ビルや商業施設

・一般住宅の屋根や外壁

・塗り替え回数を減らしたい場所

・4大樹脂の中で最高峰の耐久性

・紫外線、雨、熱に極めて強い

・セルフクリーニング機能を持つ塗料もある

・非常に高価

・塗膜が硬くひび割れ追従性が低い

・DIYでの取り扱いは難しい

非常に長い 非常に高価

アクリル樹脂塗料

4大樹脂の中で最もコストパフォーマンスに優れているのが、アクリル樹脂塗料です。

主に室内の小物や短期間で模様替えをしたい家具など、雨風にさらされないインテリアの塗装に適しており、DIY初心者にも人気があります。

色の発色が良くカラーバリエーションが豊富な上に価格も非常に安いため、気軽に購入して試せる点も初心者におすすめです。

しかし、耐久性や耐候性が低く、紫外線によって劣化しやすい点は大きなデメリットです。

特に屋外で使用すると数年でひび割れや色あせが起こりやすいため、長期的に保護しなければならない場所には適していません。

ウレタン樹脂塗料

ウレタン樹脂塗料は、塗膜の柔らかさとバランスの良さが魅力の塗料です。

主に建具やフローリング、テーブルの天板のような頻繁に触れる木製家具、可動部のある木部などの塗装に適しています。

塗膜に柔軟性と密着性があるため、木材が伸縮してもひび割れしにくい点がメリットです。

また、独特の光沢があるため、高級感のある仕上がりを目指したい場合にも人気があります。

アクリル樹脂塗料よりは長持ちするものの、シリコン樹脂塗料などに比べると紫外線に弱いため、長年経過すると変色しやすい傾向がある点には注意が必要です。

シリコン樹脂塗料

シリコン樹脂塗料は、現在のリフォーム市場で主流となっている定番塗料です。

非常にコストパフォーマンスが高いため、戸建ての外壁塗装や屋根、屋外のウッドデッキなど、常に雨風にさらされる場所での塗装に適しています。

高い耐熱性と耐候性を併せ持つのが最大の特長で、紫外線による劣化や色あせに強いメリットもあります。

また、汚れをはじく性質もあるため、長期間美しい外観が保てる点もおすすめです。

しかしアクリル樹脂塗料やウレタン樹脂塗料と比べると、価格がやや高めな点があります。塗膜がやや硬めなため、伸縮性の高い素材に塗るとひびが入るリスクがある点は、使用上注意すべきでしょう。

フッ素樹脂塗料

フッ素樹脂塗料は、4大樹脂の中で最も高い耐久性を誇るハイグレード塗料です。主に、大型ビルや商業施設などに使われていますが、一般住宅の屋根や外壁塗装などにも使われます。

メリットとして注目すべきなのは、圧倒的な寿命の長さです。

紫外線や雨、熱に極めて強い特性がありますし、塗料によってはセルフクリーニング機能(自ら汚れを落とす機能)を持つものもあります。

デメリットは、非常に高価な塗料である点です。

そのため、DIY塗装としてはほとんど使われず、リフォームの現場でも次回の塗り替えの手間を極力減らしたい場合などに限定されます。塗膜が非常に硬いため、ひび割れ追従性が低く、DIYでの取り扱いは難しいです。

素材・環境別の正しい選び方

塗料選びの失敗を防ぐためには、素材や環境に注目して選ぶことも重要です。ここでは、初心者でも分かりやすい具体的な判断基準をご紹介します。

「塗る素材」で選ぶ

塗料を選ぶ際、塗装する対象の素材に注目すると簡単に判断ができるようになります。

例えば木材は呼吸によって伸縮するため、呼吸を妨げず伸縮にも併せられるウレタン樹脂や水性塗料が適しています。

一方で鉄・アルミなどの金属やプラスチックの場合、表面がつるつるしているため、密着性の高さが必須です。

なお金属の場合はサビ止め効果も期待できる油性塗料がおすすめですが、それぞれの素材に対応した専用のシリコン樹脂塗料もおすすめです。

「使う環境」で選ぶ

DIY作品をどこに置くかによって、塗料を選び分ける方法もあります。

例えばリビングや寝室、子ども部屋などに置く家具であれば、においが少なく安全性の高い水性ウレタン樹脂塗料などがおすすめです。

反対に庭のベンチやベランダの柵など屋外で直射日光や雨にさらされる環境で使用する場合は、耐久性を最優先しなければなりません。

そのため、シリコン樹脂塗料の中でも油性タイプがおすすめですが、DIY初心者には取り扱いややが難しいため、初めての塗装の際は避けた方が良いでしょう。

まとめ|

いかがでしたでしょうか?
この記事では合成樹脂塗料の基本から種類ごとの特長、メリット・デメリット、さらには塗料選びの失敗を防ぐヒントまでご紹介してきました。

種類が多く一見すると初心者には難しそうに見える合成樹脂塗料ですが、水性と油性の違い、4大樹脂のメリットやデメリットを整理すれば失敗は防ぐことができます。

とはいえ高性能な塗料ほど価格も高くなるため、「安さを優先」「長持ちを優先」など目的を明確にすることが、失敗しないためのポイントです。

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