
スプレー塗装入門|車・プラモ・木材で失敗しない下地作りと素材別塗料の選び方
スプレー塗装は塗料初心者にもおすすめですが、初めての作業となれば「難しそう」「ムラになりそう」など不安もあるのではないでしょうか。
実はスプレー塗装の仕スプレー塗装入門|車・プラモ・木材で失敗しない下地作りと素材別塗料の選び方上がりは、手順と知識で決まります。スプレー塗装は霧状の塗料を重ねて塗るため、コツさえつかめば初心者でもプロ級の仕上がりを目指すことは可能です。
この記事では、車・プラモ・木材DIYに共通する失敗しない下地作りから素材に合わせた塗料選びまで、詳しく解説します。
目次
1.下地で3層構造のベースを作る
2.失敗しない塗料の選び方
3.初心者が失敗しやすい木材塗装に要注意
4.全素材に共通するスプレー塗装の鉄則
5.塗装空間はコストを抑えても作れる
6.まとめ
下地で3層構造のベースを作る

一般的に塗装は下地・カラー・クリアの3層構造で成り立っており、その中でも土台である下地は最も重要な役割があります。
塗装業界では「仕上がりの8割を決める」といわれるのが下地で、その基本を理解することこそスプレー塗装を成功させる近道となります。
下地はプライマーとサーフェイサーを使い分ける
下地作りで問題となるのが「下地剤で何を塗るか」ですが、塗装ではプライマーとサーフェイサーを使うことが一般的です。
プライマーは、アルミやステンレスのような金属や塗料がのりにくいプラスチックなどの塗装で使用します。素材と塗料を強力に結びつける接着剤の役割があり、色は透明なものが多いです。
サーフェイサーは、プラモデルや車のキズ消しに使用される液体パテで、プライマー成分を含んでいるものが主流です。色は黒やピンクなどもありますが、初心者はグレーか白を使うのが良いでしょう。
なお最近はプライマーとサーフェイサーの機能を兼ね備えた「プラサフ」という便利な下地用スプレーがあり、車の補修などではプラサフを使用するのが主流です。
下地は最も重要な工程
下地には、密着力と平滑性という2つの重要な役割があります。塗装の対象物となる金属やプラスチックの表面はつるつるしているため、そのまま塗装しても塗料は密着しません。
そのため、下地剤を塗る事で、塗料と素材の間で接着剤としての役割を加える必要があります。また、素材には微細なキズや凹凸があるため、それらを平らに整えなければなりません。このような作業が下地作りで行われるため、下地は塗装において最も欠かせない工程と言われるのです。
失敗しない塗料の選び方

スプレー塗装では、素材や用途に合わせて塗料を選ぶこ
とが重要です。素材や用途に合わない塗料を選ぶと、時間がたってからひび割れが起きたりべたつきが残ったりします。
なお、スプレー塗装ではカラー層とクリア層で使用する塗料が異なるため、層ごとに適切な塗料を選ぶ必要があります。
カラー塗料の選び方
カラー層で使用する代表的な塗料にはラッカー塗料・アクリル塗料・ウレタン塗料があり、用途に合わせて選び分けるのがポイントです。
ラッカー塗料は、乾燥が非常に早く塗膜が硬いの特長で、プラモデルや工作の塗装によく使われます。ただし、厚塗りすると下の層を溶かす性質があるため、薄く重ね塗りをするのが鉄則です。
アクリル塗料は安価でにおいが少ないことから、室内でのDIY塗装などに適しています。ラッカー塗料と比べると乾燥に時間がかかり、塗膜の強度もやや劣りますが、100均などでも手に入るため気軽に塗装ができるメリットがあります。車の外装や屋外塗装で主流なのがウレタン塗料で、2つの液体を混ぜ化学反応で固めるタイプが主流です。ガソリンがかかってもとけず日光や雨にも非常に強いため、過酷な場所の塗装に適した最強の塗料といえます。
| 塗料の種類 | 特長 | おすすめな用途 | 耐久性 |
| ラッカー系 | 乾燥が非常に早い | プラモデル、工作、屋内小物 | 低い |
| アクリル系 | 比較的安価で、水性タイプはにおいも少ない | 室内DIY、ポスター、工作 | 中 |
| ウレタン系 | 2液を混ぜた固める最強の塗膜※1 | 車の外装、バイク、ベランダ、屋外家具 | 高い |
※1:2液型とは
使用する直前に硬化剤を混ぜ合わせるタイプのウレタン系塗料。化学反応によって固まるため、一般的な1液型スプレーよりも圧倒的な耐久性を誇る。
クリア塗料の選び方
クリア層では透明なクリア塗料を使用しますが、クリア塗料にも用途によって選び分けることが重要です。グロスタイプのクリア塗料は、ツヤを出して仕上げたいときに使用します。
中でも車やスポーツカーのプラモデルなどには、グロスタイプがおすすめです。しっとりと落ち着いた質感に仕上げたいときには、マットタイプ(ツヤ消し)を使います。ミリタリー模型やインテリア家具のクリア塗料には、グロスタイプよりもマットタイプの方がおすすめです。
なお、自然な仕上がりを目指すときには、半光沢タイプを使うとよいでしょう。
| タイプ | 仕上がりの質感 | 適した要素 | 印象やメリット |
| グロスタイプ(光沢) | 鏡のようなつるつるした輝き | 車のボディ、スポーツカーの模型 | コンパウンドで磨くとさらに輝きが増す |
| マットタイプ(ツヤ消し) | 光を反射しないしっとりとした質感 | ミリタリー模型、アンティーク家具、壁 | 重量感が出る上に、表面の細かな傷や塗装村も目立ちにくい |
| セミムースタイプ(半光沢) | 控えめで上品なツヤ | ロボットプラモデル、家具の補修 | 塗った感が出すぎず、自然で清潔感のある仕上がり |
初心者が失敗しやすい木材塗装に要注意

木材塗装では、塗料をそのまま塗るとムラになるという木材特有の悩みがあります。
これは木材が液体を吸い込むという特長があるためで、この吸い込みこそ初心者の失敗に関係する大きな問題です。
吸い込みはサンディングシーラーで防ぐ
木材にそのままスプレー塗料を吹きかけても、塗料は木の繊維の中にドンドン吸い込まれるだけで、いくら重ね塗りをしても色はつきません。
さらに吸い込んだ部分とそうでない部分では、ひどいムラが発生します。そのため、木材の吸い込み問題を解決するために欠かせないのが、サンディングシーラーと呼ばれる下地塗装用塗料です。
サンディングシーラーは、木材表面の微細な凹凸をうめて平滑にしつつ表面に膜を作るため、サンディングシーラーを塗った後は吸い込みを止めることができます。
なお乾燥した後に軽くやすりをかけると、木目が整い表面がツルツルになります。
ペンキとステインの違い
木材塗装の仕上げ方には造膜型と浸透型があり、造膜型ではペンキ、浸透型ではステインを使います。カラフルな家具や看板づくりでは、造膜型のペンキがおすすめです。
好きな色で塗りつぶすタイプの塗料なので、木目を気にせず好きな色や模様を描くことができます。木目を生かした仕上がりを目指すなら、浸透型のステインがおすすめです。
色だけを付けていくのがステインの特長なので、アンティーク風の家具やベランダのウッドデッキなど気の質感を生かしたい場所の塗装に適しています。
しかし、ステインは浸透させて色を塗りこむため、スプレー塗装は一般的ではなく、布や刷毛で刷り込むのが定番です。
全素材に共通するスプレー塗装の鉄則

下地を作り、素材や用途に適した塗料を選んだら、いよいよスプレー塗装の本命である「吹き付け」です。
木材のように特殊な事情のある素材もありますが、スプレー塗装における5つの鉄則は全素材に共通します。
距離は10~15cmを死守
スプレー缶と対象物との距離は、10~15cmで一定に保つのが基本です。スプレー缶との距離が近すぎると、塗料が一か所に溜まり液だれの原因となります。
逆に、距離が遠すぎると対象物に付着する前に空中で塗料が乾いてしまうため、表面がみかん肌(サメ肌)の皮のようにざらざらとした状態になります。なお、スプレー缶との距離は、15cm定規1本分をイメージすると良いでしょう。
スプレーは対象物に対して平行にスライド
スプレー缶を移動させる際は、常に対象物に対して平行に保たなければなりません。
吹き付けた際に中心だけが厚く端が薄くなっている場合は、手首を支点にして扇型にスプレー缶を振っている可能性があります。スプレー缶を平行にスライドさせるためには、手首を動かすのではなく、腕全体を横にスライドさせることが重要です。
空吹きしてから吹き始める
スプレー塗料の場合、ボタンを押した直後の霧は粗く大きな粒が出やすいです。粗く大きな粒はダマになるため、スプレー塗装では空吹きで防ぐ必要があります。
空吹きする際には対象物の少し外側でボタンを押し始め、均一の霧が出るようになってから対象物の上を通過します。なお、ボタンを離す際も、必ず対象物の外側で離すのが鉄則です。
薄塗りと重ね塗り
1度塗りで完璧に色を付けようとするのは、スプレー塗装で最も避けなければならないことです。スプレー塗装では「薄く塗る」が基本で、1度目の塗装では色はほとんどつきません。「ほんのりと色がついたかな」という程度が、1度塗りの正解です。
その後、塗料に記載されている乾燥時間に従って乾かし、2度目の塗装、さらに3度目の塗装と重ね塗りをすることで、深みのある均一な塗面に仕上がります。
湿度80%以上では塗らない
雨の日や湿度の高い日の塗装は、かぶりと呼ばれる白化現象が起こるリスクが非常に高いです。
塗料は溶剤が蒸発することによって乾きますが、雨の日や湿度の高い日は空気中に多くの水分が含まれているため、溶剤は蒸発する際に空気中の水分を巻き込んでしまいます。
この状態で塗料が乾くと表面が白く曇ってしまうため、塗装の仕上がりとしては失敗です。特に、湿度が80%を超えた状態では「かぶり」が高確率で発生するため、塗装作業は厳禁です。
塗装空間はコストを抑えても作れる

スプレー塗装は室内でも可能なため、小物のDIY塗装などにも適しています。しかし、室内での作業となれば、部屋の汚れや近所へのにおいトラブルが気になります。
プロの塗装現場では専用の塗装ブースがありますが、簡易塗装ブースであればコストを抑えて作ることも可能です。
簡易塗装ブースの作り方
簡易塗装ブースは、大きめの段ボールをベースに作ります。段ボールを横に寝かせ、開口部を自分に向けます。
段ボールの奥には、スプレーの霧をキャッチするためのフィルターとして新聞紙を置きますが、付着しやすいように新聞紙はしゃくしゃに皺をつけるのがポイントです。
このままでも塗装は可能ですが、対象物を触らずに全方向から塗布するためにも回転台を取り付けましょう。回転台は、100均のキッチン用品にある回転台を使うのがおすすめです。
回転台を取り付ければ簡易塗装ブースは完成ですが、換気は必須なため、可能な限り作業は屋外で行うようにしましょう。なお、ベランダで作業をする際は、風向きに注意することでにおいが原因の近隣トラブルを防ぐことができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
この記事では、車・プラモ・木材DIYに共通する失敗しない下地作りから素材に合わせた塗料選びまで、詳しく解説しました。
スプレー塗装は、正しい下地作りと素材にあった塗料選び、薄く重ねる塗り方の3点を守ることで初心者でもプロ並みに仕上がります。特に下地処理は重要で、プロでも非常に時間をかけ丁寧に作業をするほどです。
そのため、下地作りでは手間暇を惜しまないことが、数年後の耐久性にも影響します。なおスプレー缶の動かし方や霧の操り方などは慣れも必要なので、まずは小さな小物の塗装から始めてみるのがおすすめです。
コメント ( 0 )
トラックバックは利用できません。


この記事へのコメントはありません。