
【チッピング塗装】通常塗装との違いやウレタンクリア仕上げの注意点は?
近年個性的なデザインとして人気が高まっているチッピング塗装は、独特な質感が魅力です。
しかし、チッピング塗装は通常塗装とは仕上げ工程が異なるうえ、こまめな手入れが必要になります。
そこでチッピング塗装でイメージ通りの質感に仕上げるためのポイントをご紹介!
チッピング塗装の特徴や魅力をふまえつつ、ウレタンクリアの使い方や使う際の注意点、通常塗装との違いを解説します。
目次
1.チッピング塗装とは?
2.チッピング塗装と通常塗装の違い
3.チッピング塗装をウレタンクリアで仕上げるメリット
4.チッピング塗装のポイント
5.お手入れのポイント
6.まとめ
チッピング塗装とは?

自動車に関する用語で「チッピング」が使われる場合、シーンによって用語の意味が変わります。
塗装シーンで使用される「チッピング」はマット塗装を指すことが多く、これがいわゆるチッピング塗装です。
「チッピング」本来の意味とは?
自動車分野における「チッピング」とは、飛び石などがボンネットやバンパーの塗装面に接触し、表面の塗膜が落ちることを意味します。
飛び石のサイズはほとんどが小さいため、欠損した部分の塗膜には白く小さな点のように見えることが多いです。
チッピング塗装がおすすめな車のタイプ
チッピング塗装では、ラバーチッピング塗料でカスタムするのがおすすめです。
ラバーチッピング塗料は耐衝撃性と防錆性に優れているため、オフロード走行を目的とした車に適しています。
例えばトヨタのランドクルーザーシリーズは、チッピング塗装におすすめです。
またジープのラングラーやクロカン車も、チッピング塗装におすすめの車といえます。
さらにチッピング塗装のワイルドな質感は、アメ車やローライダースタイルにもおすすめです。
特にローライダースタイルはラプターライナーと呼ばれるチッピング塗装で仕上げてみてはいかがでしょうか。
ラプターライナーは表面の凹凸具合を自由に調節できるため、より個性的な印象になります。
なおスタンス(シャコタン)のように車高を下げたカスタム車にも、チッピングはおすすめです。
チッピング塗装と通常塗装の違い

チッピング塗装は、表面にあえて凹凸を作り重厚感のある独特な風合いを演出する塗装方法です。そのためチッピング塗装は、通常と工程が違います。
さらに見た目や主な目的にも、チッピング塗装と通常塗装には違いがあります。
質感の違い
チッピング塗装は表面にあえて凹凸を作ることによって、ざらざらとした独特な質感に仕上がります。
また塗布面にクリア層を重ねないため、マットな印象になる点もチッピング塗装の特徴です。
これに対して通常塗装は表面を平らにするため、滑らかな質感になります。
またクリア層を重ねるため、艶感や光沢感が出るのも通常塗装の特徴です。
工程の違い
チッピング塗装では、足付けによって表面に細かな凹凸を作ります。
その後チッピング塗装を行い完全に乾燥させれば、通常の工程は終了です。
あえてクリア塗料をのせないことによってマットな質感を出しますが、目的によってはクリア塗装を施す場合もあります。
通常塗装では、足付けと下塗り後にカラー塗装を行い、仕上げ作業としてクリア塗装をします。
クリア塗装は塗面の保護のために行いますが、光沢が加わるため、通常塗装の車はつやつやした見た目になるのが特徴です。
目的の違い
チッピング塗装では、飛び石などによる表面の傷を防ぐ目的で使われます。
また近年のチッピング塗装では、防錆や塩害からの保護のためにつかわれることもあります。
ただし表面に凹凸があるため、汚れがたまりやすいです。
個性的な印象に仕上げることを目的に、チッピング塗装を選択するケースもあります。
マットな質感に仕上がるため、定番カラーのホワイトやブラックもチッピング塗装では個性的な印象になります。
通常塗装ではクリア塗装を施すため、表面にほこりや汚れが付きにくいです。
そのためこまめな手入れが難しい人や1台の車を長く乗り続けたい人は、通常塗装の車を選ぶのが良いでしょう。
| チッピング塗装 | 通常塗装 | |
| 質感の違い |
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| 工程の違い |
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| 目的の違い |
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チッピング塗装をウレタンクリアで仕上げるメリット

ウレタンクリア塗装は、本来艶感を出すための仕上げ工程に行います。
しかしチッピング塗装はあえて表面に凹凸を作ることによって、独特な重厚感を演出するマット塗装です。
そのため通常のチッピング塗装では、ウレタンクリア塗装を行うことはありません。
とはいえチッピング塗装にウレタンクリア塗装を組み合わせることによって、さまざまなメリットも生まれます。
近年はチッピング塗装ならではの独特な質感が残せる塗料もあるため、クリア層を重ねるチッピング塗装も人気です。
耐久性と保護性の向上
ウレタンクリアの主成分はウレタン樹脂のため、塗布することによって塗膜の耐久性が上がります。
さらにチッピング塗装にウレタンクリアを組み合わせると保護性の向上にもつながるため、傷がつきにくくなります。
ただし厚塗りになるとチッピング塗装特有の質感が失われるため、薄い層を幾層も重ねる必要があります。
耐候性の向上
通常のチッピング塗装ではクリア塗装を行わないため、紫外線の影響を受けやすいです。
しかしウレタンクリア塗装は紫外線にも強いため、チッピング塗装と組み合わせることによって耐候性を向上させる効果があります。
なお紫外線による影響を抑えたい場合は、UVカット仕様のウレタンクリア塗料を使用するとさらに効果が期待できます。
保護効果の向上
チッピング塗装後にクリア塗装を行わない場合、汚れやほこりがたまりやすくなります。
しかも表面の独特な質感を保護するため、チッピング塗装を施した車はこまめな洗浄が必要になります。
しかしチッピング塗装にウレタンクリア塗装を組み合わせると、表面の保護効果が高まります。
通常塗装と比較するとこまめな手入れが必要になりますが、汚れやほこりはつきにくいです。
ただし通常塗装とは違い研磨作業を行わないため、表面は平らになりません。
美しさの持続性
チッピング塗装後にウレタンクリア塗装することによって、汚れやほこりが落としやすくなります。
通常塗装と比較すると凹凸部分に汚れやほこりがたまりやすくなりますが、ウレタンクリア塗装なしと比較すると格段に落としやすいです。
表面に傷をつけることなく汚れやほこりが落とせるため、ウレタンクリア塗装と組み合わせた方が美しさを持続できるようになります。
チッピング塗装のポイント

チッピング塗装によってイメージしたとおりにカスタマイズするには、塗装の基本技術を正しく守ることがポイントになります。
チッピング塗装では仕上げにクリア層を重ねないので、塗布作業の出来栄えが仕上がりの印象に直結します。
中でも特に注意したいのが、「ムラ」です。
ムラにならないようにするには、スプレーと塗布面との距離を正しくとりましょう。
塗布面との距離が近すぎても遠すぎても、ムラの原因になります。
また重ね塗りをする場合も、一度に塗ろうと思わないことです。
塗料は厚塗りするとムラになりますし、薄過ぎても本来の効果は発揮されません。
塗装の基本は薄い膜を何層にも重ねることなので、手間を惜しまず根気よく重ね塗りをしていきましょう。
つや消しクリアで耐久性をアップ
クリア塗料には、つや消しタイプの塗料もあります。
つや消しタイプのクリア塗料であれば、チッピング塗装特有のマットな質感を残しつつ、耐久性を向上させることができます。
なおつや消しタイプのクリア塗料以外で耐久性を高めたい場合には、コーティングを施すのも一つの案といえるでしょう。
例えば部分的なチッピング塗装であれば、DIYでの施工にも適したポリマーコーティングがおすすめです。
長期間効果を維持したい場合はガラスコーティングがありますが、コストが高いため、予算に応じて検討してみるとよいでしょう。
コストパフォーマンスで選択するなら、ガラス系コーティングという選択肢もあります。
白化現象を抑える
チッピング塗装で白化現象(塗布面が白くなる現象)は、正しい塗布環境を調えることで抑えられます。
白化現象が起こる原因は複数ありますが、大半は湿度が塗布に適さないことで起きています。
特に湿度が高い状態で塗布すると白化現象が起こりやすくなるため、作業の際には塗布に適した湿度であることを確認してからにしましょう。
お手入れのポイント

独特な重厚感やマットな質感が魅力であるチッピング塗装は表面に細かな凹凸があるため、汚れがたまりやすくなります。
さらに通常のチッピング塗装ではクリア塗装を施さないため、傷がつきやすい点にも注意が必要です。
そのためチッピング塗装でカスタマイズした場合は、通常塗装とは異なるお手入れの注意点があります。
洗う際のポイント
チッピング塗装後は、手洗いでの洗車が基本です。さらにカーシャンプーの使用も基本はNGで、水洗いのみになります。
そのため汚れが付いたら、その都度水洗いで落とすようにしましょう。
水洗いで汚れが落ちなかった場合は、汚れた部分にやや熱めのお湯をかけて落とす方法があります。
お湯は直接汚れた部分にかけるのではなく、クロスをかぶせた上からかけてください。
なおお湯でも落ちない汚れの場合は、中性タイプまたは弱酸性タイプのカーシャンプーを使用します。
またワックス掛けやバフ掛けは艶が出てしまうのでNGです。
吹き上げのポイント
洗車後は、柔らかい布などでしっかりと吹き上げましょう。
自然乾燥させると水シミが表面に残るため、ウレタンクリア塗装を施した場合も必ず吹き上げるようにします。
ただし力を入れすぎたり擦ってしまうと、塗布面が傷つく恐れがあります。
出来るだけ無駄な力は入れず、優しくふき取るように心がけるのが吹き上げのポイントです。
保管時のポイント
チッピング塗装した車は、紫外線や汚れが大敵です。
そのため保管する際は、出来るだけ屋根付きの車庫または屋内駐車場で保管するようにしましょう。
特に雨天時に屋外で保管すると、雨水で水シミができてしまいます。
表面の水シミを擦ってしまうと、塗料が剥げてしまうことがあります。
なお屋外駐車場でしか保管が難しい場合は、チッピング塗装以外の方法でカスタマイズすることも検討した方が良いでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
そこでチッピング塗装でイメージ通りの質感に仕上げるためのポイントをご紹介てきました。
独特な質感と重厚感で個性を演出できるチッピング塗装は、クリア塗装と組み合わせることで耐久性を上げることができます。
またチッピング塗装・クリア塗装には、さまざまな種類があります。
そのため組み合わせ方を工夫することで、カスタマイズの目的と耐久性の両立が可能になります。
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