
木材に正しくウレタン塗装するやり方は?下地処理から仕上げまで徹底解説
ウレタン塗装は、木材にツヤを与えたり、耐久力を追加することができるため、DIYを検討している方にはおすすめの塗装方法です。
しかし、塗装の経験が少ない方は、「どんなウレタン塗装を選んでいいのか分からない」「正しい塗装のやり方が分からない」というような疑問も多く浮かぶでしょう。
この記事では、ウレタン塗料の選び方や、木材の下地処理から仕上げまで徹底解説します。この記事を読めば、誰でも木材にウレタン塗装ができるようになりますので、ぜひ読んでみてください。
目次
1.木材にウレタン塗装する際の塗料の選定基準
1-1.ウレタン塗装することで得られるメリット
1-2.木材用のウレタン塗料の選び方
2.ウレタン塗料に必要な塗料
2-1.ウレタン塗料の水性と油性の違い
2-2.ウレタン塗料の1液型と2液型の違い
2-3.必要に王応じてステイン(着色剤)やシーラーを用意する
3.木材へのウレタン塗装の手順
4.木材にウレタン塗装の失敗例と解決策
4-1.塗装後にベタ付きが残る
4-2.塗装ムラが出る
4-3.泡立ち、ブツの発生
6.ウレタンニスで着色と保護をする方法も
7.まとめ
木材にウレタン塗装する際の塗料の選定基準
ここでは、木材に塗装することで得られるメリットや、どんなウレタン塗料が木材に適しているのかを解説します。
ウレタン塗装することで得られるメリット
木材にウレタン塗装することで様々なメリットを得られます。
- 防虫効果、防腐効果
- 耐久性、耐水性が向上する
- 紫外線から木材を守る
- 塗膜を形成し摩耗や傷から守る
- 汚れが付きにくくなる
- 木材にツヤを出す
- 木目を綺麗に演習できる
塗装しないと木材が雨風に直接さらされてしまうので、早期に劣化してしまいますが、ウレタン塗装を施すことで、木材を水分や傷、汚れから守ってくれます。
また、ツヤを出すことで、高級感を演出でき、装飾品としての価値を高めることも可能です。
木材用のウレタン塗料の選び方
ウレタン塗料といっても用途は様々ですので、木材にあったウレタン塗料を選択する必要があります。
木材用のウレタン塗料に求める効果は以下の通りです。
- 防腐効果
- 防虫効果
- 防カビ効果
- UVカット(紫外線にさらされる場合)
- 耐水性、撥水性
木材は虫が寄ってきたり、水分によって腐ったりしてしまうので、防腐効果や防虫効果、耐水性は必須です。
また、屋外に塗装する場合は紫外線による木材の早期劣化を防ぐために、UVカットも必要になってきます。
ウレタン塗料にどんな添加剤が含まれているかを必ずチェックし、室外用・室内用など用途に応じたウレタン塗料を購入してください。
ウレタン塗装に必要な塗料
木材にウレタン塗装するために必要な塗料を解説します。
ウレタン塗料の選び方も説明しますので、塗装を検討している方は参考にしてみてください。
ウレタン塗料の水性と油性の違い
ウレタン塗料を選択する際は、最初に水性か油性を選択します。
| ウレタン塗料の種類 | 特徴 |
|---|---|
| 水性 | 初心者にも取り扱いやすい臭いが少なめ乾燥が遅い耐久力が少し劣る |
| 油性 | 臭いが強い乾燥が早い、耐光性・耐久力が高い。屋外室内どちらにも対応している塗料を選択できる |
油性か水性どちらを選択するかのポイントは3つあります。
- 扱いやすさ
- 耐久力
- 木目を生かすそれとも生かさないのか
- 屋内、屋外どちらで使用するか
どのポイントを重視するかを決めて、水性か油性かを検討してください。
ウレタン塗料の1液型と2液型の違い
水性か油性か選択したあとは、1液型か2液型のどちらかを選択します。
1液型は硬化剤を混ぜる必要がないため、すぐに使用できるのが特徴で、体育館の床などによく使われる2液型は主剤と硬化剤の2つを混ぜ合わせる必要がありますが、1液型より耐久性が高いのが特徴です。
| ウレタン塗料の種類 | 特徴 |
|---|---|
| 1液型 | 初心者にも扱いやすい、塗料の寿命が短い。 塗膜の強度がやや劣る耐久力がやや劣る |
| 2液型 | 1液型より扱いが難しい、塗膜の強度が強い、耐久力が高い |
1液型か2液型かの選択のポイントは2つです。
- 扱いやすさ
- 耐久力
扱いやすさと耐久力のどちらを重視するかで、選択は変わります。
必要に応じてステイン(着色剤)やシーラーを用意する
ステインとは、木材用の着色剤です。
DIYする際に木材の着色を検討している方は、必要に応じてステインを用意してください。
ステインとは下地を透過させる塗料で、木目を最大限に生かすことができる塗料で、シーラーに適量混ぜて塗っていきます。
通常の塗料で着色すると、木目が台無しになってしまいますが、ステインであれば木目を活かしつつ着色が可能です。
また、ステインで着色する際には、着色剤の吸い込みを防止するシーラーを合わせて購入することもおすすめです。木目の導管を埋める役割と木目の発色を行くする効果があります。
ウレタン塗装の手順
塗料の準備をして、耐水ペーパーや刷毛、ウエスなどの道具を用意したら、いよいよ塗装にはいります。下地処理から順番に解説していきます。
Step1:木材を研磨する(下地処理)
最初に、木材表面を研磨(木地調整)していきます。
布ペーパー(240〜320)を使用し、木材表面のざらつきや傷を研磨しながら除去して均一にしていきます。
塗装の密着を高める効果がありますので、均一にしっかり磨いていきましょう。
研磨のあとは削りカスを取り除き、次の工程に移ります。
Step2:木材をステインで着色(必要に応じて)
木材に色を付けたい場合、シーラーにステインを混ぜて着色します。
木目を生かすので、ブラウン・ブラック・オーク・マホガ二色などが多く使われます。
木材にステインを混ぜたシーラーを刷毛塗り、色ムラの無いように刷毛塗りすることが重要その後乾燥させ、必要に応じて重ね塗りをします。
アルコールステインなどの場合、原液をそのまま木材に刷毛やウエスでステインを塗り、余分なアルコールステインをキレイなウエスなどで拭きとってから乾燥させ、必要に応じて重ね塗りをします。
乾燥後、ウレタンサンディング等で中塗りし320〜400の耐水ペーパーで研磨して木材の表面を整えましょう。
Step3:シーラーで吸い込み防止(必要に応じて)
ステインを塗布したあとは、透明なシーラーやウレタンサンディングを塗布し導管を止めることによって導管からの泡や気泡を防止します。
吸い込みを防止(導管を止める)しないと、次に塗る塗料(ウレタンサンディングやシーラー)から泡が発生したり、色ムラの原因になりますので、ステインを使用する場合は、透明シーラーを塗布するのがおすすめです。
シーラーは、刷毛又はスプレーガンを使用し、均一に塗っていきます。乾燥後は、320〜400の布ペーパーで研磨して、木材の表面を整えてください。
吹付での塗装方法はYouTubeを参照ください。
Step4:ウレタンサンディングで中塗り
ウレタンサンディングという塗料で中塗りをしていきます。
木材表面の細かい凹凸を埋めて平滑にする効果があり、研磨を前提にした塗料なので、表面の調整がしやすく、仕上がりの向上にはかかせません。
ウレタンサンディングを刷毛又はスプレーガンで均一に塗布したあとは、しっかりと乾燥させ、320~400の布ペーパーで研磨して表面を整えます。
Step5:ウレタン塗料で仕上げ(上塗り)
最後にウレタン塗料で上塗りしていきます。刷毛で塗装する場合は、塗り重ねた部分に部分に段差が出ないように注意しながら塗っていきましょう。
スプレーガンで塗装する場合は、木材から10~20cm程度離した状態で数回に分けて塗装します。
2~3回程度重ね塗りをした方がいいので、1回目の塗装を乾燥させたら、必要に応じて600前後の布ペーパーで研磨してから重ね塗りをすると仕上がりが良くなります。
ウレタン塗装のよくある失敗例
木材にウレタン塗装するときに陥りがちな失敗例を3つ紹介します。
実際に塗装する前に知っておくことでトラブルを事前に回避できますので、読んでみてください。
塗装後にベタつきが残る
数日たっても塗膜にベタつきが残っている場合、以下の原因が考えられます。
- 厚塗りし過ぎて乾燥に時間がかかっている
- 主剤と硬化剤の混合比率を誤っている(2液型の場合)
- 木材に油分や水分が残っている
- 下地にラッカ系やセルローズ系の塗料を塗っている
塗装の基本は薄く数回に分け塗ることです。
一度に厚く塗ってしまうと、乾燥に時間がかかってしまいます。
また、2液型を使用する場合、主剤と硬化剤の比率をよく確認してから薄め液を混ぜるようにしましょう。4(主液):1(硬化剤):3(薄め液)の混合比の場合。主液を400mlで作ると
主液400ml 硬化剤100ml 薄め液300ml 塗料合計量は800mlとなります。
また硬化剤は多くても少なくてもNGです。中には硬化剤を多く入れたほうが、早く固まるとか耐候性が出ると勘違いしている方も多く、失敗した内容の多くは硬化剤の量を多く入れすぎたことによる、硬化不良が要因の一つに上げられます。
その他、下地にラッカ系の塗料やセルローズ系の塗料で塗装した上からウレタンクリアーなどを吹いた場合、クラッキングや乾燥不良を起こす場合も多く見られます。
しっかりと塗料の知識を知ったうえで塗装して行きましょう。
塗装工程・塗装手順に不明点があるときはおもしろ塗装工房へお気軽にお問合せください。
塗装ムラが出る
木材に塗装したときに塗装ムラが発生する原因は以下の通りです。
- 塗料の粘度が高すぎる
- スプレーガンや刷毛を均一に動かしていない
- スプレーガンの吐出圧力が不適切
- スプレーガンの距離が不適切
塗料をあまり希釈しないで使用すると、粘度が高くなってしまい、塗装しても塗膜の厚みが不均一になってしまいますので、説明書をよく読んで希釈するようにします。
刷毛を使用する場合は、一定の速度で均一(刷毛を寝かしながら塗る)に動かすことで塗装ムラを起こす確率を大幅に減らせます。
スプレーガンを使用する際は、適切な圧力に調整したあと、10~20cm離した状態で塗装するのがもっとも適切な方法です。
泡立ち、ブツの発生
塗装後に塗膜に気泡が残ったり、小さなブツが発生する時は以下の原因が考えられます。
- 塗料を勢いよく攪拌しすぎた
- 研磨後の削りカスやゴミが残っていた
- スプレーガンの洗浄不足
- 風の強いところで塗装した
塗料を勢いよく攪拌してしまうと、空気が混入し、気泡が発生してしまいますので、底からゆっくりと攪拌します。
また、研磨後の削りカスやゴミをエアー等でしっかり除去しないと、塗装後にブツが発生し、仕上がりに大きく影響してしまいます。
塗装前に手でゴミが残っていないか触りながらザラツキ・ホコリがないか必ずチェックしましょう。
ウレタンニスで着色と保護をする方法も
「ステイン」→「シーラー」→「ウレタン」塗装の通常工程は複雑なので、初心者には難しい面もあります。そんなときは、ウレタンニスを使用すれば塗装工程の複雑さを一気に解消できます。
ウレタンニスは、塗るだけで着色と木材の保護を完了できる優れた塗料です。施工手順も簡単で、先ほど解説した下地処理を実施し、削りカスを除去したあとに薄く均一に塗るだけです。
キレイに仕上げるためには、2~3回重ね塗りが必要になりますが、作業工程が少ないので、手軽に挑戦できます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
この記事では、ウレタン塗料の選び方や、木材の下地処理から仕上げまで徹底解説してきました。
最後にまとめです。
- 木材用の塗料には防虫、防カビ、撥水成分が含まれているものを選ぶ
- 扱いやすい塗料は水性で1液型のウレタン塗料
- 失敗しないコツは「研磨」「薄く塗る」「しっかり乾燥」「塗装工程通り塗装する」「インターバルを取る」
- ウレタンニスを使用して簡単に塗装する方法もある
以上のことを踏まえて塗装すれば、失敗のリスクを大幅に減らせるでしょう。
自分の技術や塗装用途に応じて塗料を選択し、キレイな塗装の実現を目指してください。
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